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ザリガニの鳴くところのkokottoのレビュー・感想・評価

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)
4.0
パッケージとタイトルの響きから勝手にホラーかと思ってた。だって『ザリガニ』て、しかも『鳴くところ』て。

ストーリーはノースカロライナの湿地帯で青年の死体が見つかる所から始まる。容疑者はひとり湿地に暮らす『湿地の女』カイア。たいした物証も無いまま街の人々はカイアが犯人だと決め付け逮捕されてしまう。
法廷のパートと、彼女の半生を振り返るパートで話は進んでいく。

湿地で暮らす家族。父親のDVのせいで母親が家を出ていき、姉二人が出ていき、兄が出ていき、しまいには父親まで出ていってしまい幼いカイアは湿地の家にひとりぼっちになってしまう。
それでも母親の帰りを信じて一人たくましく暮らすカイア。
なかなかにヘビーな境遇だが、街の人々からは『湿地の子』として疎まれあまり環境には恵まれ無かったが、数人の彼女と関わった人々が本当にいい人。
幼い頃からなにかとカイアを気にかけてくれた雑貨屋夫婦。彼女に読み書きと自分の力で生きるきっかけを与えてくれたテイト。そして彼女への偏見に疑問を投げかけてくれた弁護士さん。
皆がこうやって他人に優しさを持てたらいいのに。
父親とクソ男のDVシーンはマジで胸糞だったので死んでも同情出来ませんな。、

最後まで観るとあっ、となる。
彼女は幼い頃からずっと逞しく強い。そこがまた魅力的。
(てか、そういう事だとすると、コナン君や金田一少年ばりにあんな事やこんな事があったってのかい?)

あと、湿地の自然の描写は本当に美しかった。あんな暮らしがあるのか。
『湿地と沼地は違う』勉強になりました。

エンドロールの曲が胸に響く。カロライナ。
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