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ザリガニの鳴くところのHIROのレビュー・感想・評価

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)
4.2
観る前に勘違いしていて、ホラーに近い作品かと思っていた。
しかし、観てみると現代でも社会問題となるような様々な視点(DVや貧困や開発と環境etc)が上手く組み込まれている面白いサスペンスだった。

主人公を取り巻く人間関係も、恋愛に関してはとても古典的な構造である。しかしそれぞれの抱える心の傷がサラリと描かれていて、徐々に崩れていく人間関係の歯車と、それでもお互いを求めるしか術のないそれぞれの立場と、彼らを取り巻くコミュニティの息苦しさが彼らを追い詰めていく描き方に見応えを感じた。

湿地の美しさや自然の持つ力強さ、それを細かく観察して描き記す主人公の姿など、とても印象的なシーンが多いのも特徴だった。

ラストシーンもかすかに予感はしていたものの、正直辛かった。三人の心の孤独をより深く描いている感じを受けた。

主人公を見守る店の夫婦や弁護士の優しく温かな雰囲氣がとても良かった。
改めて原作を読んでみたい。
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