あんじょーら

ザリガニの鳴くところのあんじょーらのレビュー・感想・評価

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)
2.7
オリヴィア・ニューマン監督     ソニー・ピクチャーズ     U-NEXT


昨年公開作品ですが、U-NEXTさんで観られるので、原作も気になってて、未読なんですけれど。


1969年、ノースカロライナの湿地で街の人気者チェイスが亡くなっているのが発見されます。その容疑は湿地で1人で生活しているキャサリン・クラーク(デイジー・エドガー=ジョーンズ)に向けられるのですが・・・というのが冒頭です。


んんん・・・映画として決して欠点の多い映画ではありませんし、嫌いな作品でもないです。ですが、パンチ力に欠けると言いますか、もっといろいろ出来たんじゃ、という気持ちになります。


まず、この淡々とした物語のフックになるのは、当然、殺人容疑がかかるというミステリ要素なんですけれど、確かに重要なんですけれど、なんか、途中から、もう仕方ないか、みたいな感覚になるんですね・・・


これは小説であれば問題ないのでしょうけれど、まず、キャサリン・クラークを演じるデイジー・エドガー=ジョーンズが、整い過ぎている、大問題があります・・・


キャサリン・クラークさんは、湿地で幼い頃から暮らさなければならなくなった、児童虐待体験ありの上で、さらに育児放棄のネグレクト状態から恐らく、小学生低学年のうちから生活者になった、そして近親者がいない湿地で育った女性です。


この人の魅力、キャラクターの魅力が重要なんですけれど、そしてその人が整った容姿であっても全く問題ないのですが、あまりに整い過ぎていると、物語の説得力が落ちてしまいかねないんです、そんな美人が居たら目立つ、という事になってしまうんです・・・


この映画の中に出てくる街の人、名もない街の人のどの人物、ちらりとしか映らない人々含めても、圧倒的に、無慈悲なくらいに圧倒的に、整っています。湿地で1人で暮らしているのに、何らかの邪な人物を呼び寄せかねないくらいです。


ですので、映画の本筋に関係してきてしまうのですよね・・・映画の説得力、リアリティラインと言っても良いですが、それを出来るだけ高めるのであれば、デイジー・エドガー=ジョーンズさんは整い過ぎているので、問題になるし、観客を呼びたい、それも俳優でも呼びたいとなれば、容姿端麗な俳優を使わなければならない・・・ジレンマですけれど、この映画の場合は、後者を選択した。


ので、私には、あまりにキャサリン・クラークが整い過ぎていて、映画の説得力が下がったな、と感じてしまいました。


でも、映画としてはなかなか美しい場面も多いですし、悪くはない。


正直、ミステリ部分よりも、ネグレクトの親の方が心配になりました・・・でも多分、ホモ・サピエンスも動物なので、恐らく、言語を尊ばない、あるいは感情に身を任せる人の中には、暴力を使うホモ・サピエンスもまだ結構いるんじゃないか?と思います。



自然の美しさを愛でるのが好きな、基本的には女性の方に、オススメ致します。