Maruham

ザリガニの鳴くところのMaruhamのレビュー・感想・評価

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)
-
自然と人間の営みの対比が素晴らしい。カイヤという独立した1人の女性の生き様を描いた物語として観ても面白い。サスペンス要素は薄め。自然はそのサイクルの中で変化を続け、生を拡張する。そこには残酷さも当然伴うもので、目に見える美しさだけではない。カイヤを取り巻く人生も裏切りの連続で、家族、恋人にことごとく恵まれない姿は不憫でしんどいものがある。同時にそれぞれにも事情があり、この人間社会で生きるための決断が結果として彼女から去ることになる過程が随所で端的に描かれている。そうした中でも、彼女が愛する自然、彼女を1人の人間として支える弁護士や老夫婦の存在は、人生捨てたもんじゃないと思わせてくれる。どんどん人は去るけど、彼女の居場所は沼地であり続け、自分が愛する人、愛する場所を離さず守っていく逞しさに力をもらった。エンディングで全てがつながっていった感じ。
Maruham

Maruham