シマリン

ロストケアのシマリンのレビュー・感想・評価

ロストケア(2023年製作の映画)
3.7
非常に考えさせられる映画。
誰にでも平等に訪れる死。ただそこに至る老いの過程は人によってあまりにも差がある。
体を悪くする人、認知機能が低下する人、はたまたその両方。間際まである程度健康なら幸い。その上その環境にも差がある。

一時期騒がれた老後2000万円問題なんてのもあったけど、お金があれば施設に入れたりである程度は解決する。だけどそんな家庭ばかりではない。老々介護、ヤングケアラーの問題もある。働き盛りに親の面倒を見なければならない人もいる。

この映画では、そんな様々な立場の人たちの視点で、終末期介護の過酷さが描かれている。最終的に、ある介護士の男が行き着いた答えは、倫理的には大きな間違いだと思う。ただ、救われたというある家族の思いも察せられるだけに、非常に胸が痛い。
長澤まさみと松山ケンイチの二人の対話で描かれるシーンには終始鳥肌がたった。そして柄本明の演技には圧倒された。
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