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ロストケアのyのレビュー・感想・評価

ロストケア(2023年製作の映画)
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opでは赤文字の十字架がそれのみで暗闇に浮かび上がり/edでは十字窓の格子が抜けることで陽に透けて十字架が見える、という演出について、
「この社会には穴が」あり、その穴が十字架(=ここでは殺人行為)を生み出した、という考え方とのアナロジーが成立しそうに思え
やはり一貫して「社会モデル」の話をしていたと受け取っていいのかも、と思った。「医学モデル」側の精神鑑定結果は結局出てこなかったし。

そしてedのほうが希望的だった
個人のものにされた罪を社会が取り除けますようにという視座をかんじました もっと色々ありそうだけど、、



製作者の伝えたいことを伝えるために無駄なカットを排除した、戯曲みたいな脚本と演出の二時間。
排除しすぎて「要素だけ」になっている人たちもいた(お金がなくわざと万引き逮捕を繰り返す人、風俗に転職する人、など)。斯波が悪い許せない、という声も、聞こえないとおかしいから聞こえるけど量としては申し訳程度、だったし、感情的な声としてもたらされていたかもしれない。

観る人がひっぱられすぎると偏るはずの内容だけど、語り方としては、強引さはそれほど感じられない。
鏡やガラスがすごいパワーを発揮している。
誰かと誰かが映り重なるシーン、鏡を通して誰かを見るシーン、示唆と言うには直接的なまでの角度がこんなにも重ねられるけれど、景色的な画角?であることで「意見」は言ってこない感じ。状況はこうです、すべての判断はそちらに委ねます、と言うポーズにもなっているというか。(だからミステリー調じゃなくて信頼できる語り手ばっかりだった?)
同時に、鏡一枚挟んで被写体との距離をとることで鑑賞者をセーフティゾーンに置いている、ふりをしつつ、そっちのお前はどうなんだと常に淡々と言っている。

ファイルを倒しそうになる鈴鹿くんのかわいいインサートだけが排除から漏れていた、、と思ったがそれも意図的だったのかな、、まだ若く、しごできで、愛らしいおばあちゃん子、というもはや露悪的?なまでに完璧な存在?(、でもないか?無辜の子?)



中盤の検察室でのまさみさんと松山さん、
ただ対峙する中でどんどん展開する感情に無理がなくて、会話劇として凄い

斯波氏の、お父ちゃんに子どもとして心から泣きつく(抱きつく)気持ちと/注射の押し子を進めることをやめないこと、が、本当に両立しているということが松山さんによってわかって一番焼き付いた

最後は留置所の面会室が懺悔室になった
信仰の当事者ではない同士だという話だったけれど、ここまで描く、、と思った



?)つるに空気を入れることと、検察室で大友さんが四つの鏡に映っていたことがわからなかった。神学入門をよめばわかったりするんだろうか、、

・)メモろうと思えばこんな無責任感想になる、、
でもマジでみんな色々あるはずだ 二度目の脳梗塞で全身不随のまま数年生きた父と父とのことを思い出さないわけがない、が、それはむしろここには回収されない、というかんじなのだった 完
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