原作未読。マツケン演じる斯波は42人を殺害したのか救済したのかという社会派サスペンス。超高齢化社会の日本ならではの題材で社会的意義のある重厚な作品だ。気になる点が２つある。1点目。マツケンを序盤に逮捕し、鈴鹿くんの数学的知識を借りながら次第に容疑を固めていくという展開に少し違和感を感じる。何故なら、マツケンは容疑を否認しているわけではなく、完落ちしているから。それでは映画的に面白くないから、マツケンがペラペラという宙ぶらりんな状況に違和感。彼が自供しない理由が見当たらないのだ。原作を多分に改変しての映画化であることを知り、納得。原作では犯人は誰か？というミステリーの要素が大きな魅力の一つだったのだ。
2点目。深刻な介護問題の実情については理解できる。だが、どうしてもマツケンの発言が響いてこない。なぜなら彼の父親・柄本明の時のように他の41人については当事者の「意志」を確認していないからだ。彼らの合意を得ていない限り、長澤まさみの考える正義の方に分があると反射的にまたは生理的に立ってしまうのだ。つまり、「救う」などとは言語道断。おこがましいにもほどがあると。とはいえ、マツケン、長澤まさみという老若男女に人気のある俳優による演技バトルがすさまじいので、是非もっと沢山の人に見て欲しいですね。
