ベンジャミンサムナー

ロストケアのベンジャミンサムナーのレビュー・感想・評価

ロストケア(2023年製作の映画)
3.5
 予告編を観た時「シリアルキラーを銀髪ヘアにするのはサムいなあ」と思ってたけど、介護のストレスでほとんど白髪になってる設定だったのね。

 寝たきりだった自分の祖父も、亡くなる前は「苦しい」「殺してくれ」と呟いていた。
 一言に介護と言っても人によって状態はそれぞれだけど、介護する側はどんどん憔悴しながら自分の祖父のように「これ以上生きてても苦しいだけ」と言ってる人に対して、痛みを取り除いてあげるわけでもなくただ現状を維持するための行為を続けていると、「これはもう誰のための介護なんだろう?」って思う時があったから、この話は滅茶苦茶刺さる。

 小道具や登場人物の仕草などで心情を視覚的に表現することを脚本用語で″シャレード″と言う。
 先述した松山ケンイチの年齢に似合わない白髪頭もそう。

 ラストで松山ケンイチが父(柄本明)の枕の下から出てくる″折り鶴″はそれ自体がシャレードなのに、その折り鶴を開いたら父からのメッセージが書かれてるのは説明的で興が削がれてしまった。