グシケン

ロストケアのグシケンのレビュー・感想・評価

ロストケア(2023年製作の映画)
4.1
ズバズバ刺さりました。PLAN75が命の価値にフォーカスした話なのに対し、こちらは命を奪うことと「救い」の関係がテーマ。
たとえどんな事情があろうと同意すらない殺人を正義の救いというのは法治国家においては詭弁でしかないけど、穴の底に落ちた者に対して、安全な場所から正義を語るのは、「見たくないものを見ないようにしている」だけで、現実逃避と何ら変わらないかもしれない危うさもある。そして、自分の手で親の介護を続ける一番の理由は、苦労して育ててもらった恩義であることがほとんどだと思うけど、いつしかそれが呪縛となり、早くこの苦痛から解放されたいと願うようになる。それにもかかわらず、行政からは「自己責任」と認定されて十分な支援も受けられない。結局、何が良くて何がダメなのかはわからないけど、介護する側もされる側も「人に迷惑かけない人はいない。」というマインドで生きていくしかないんだと思う。
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