都会の片隅に暮らすイラストレーターの女、青菜と、その歳の離れた恋人で民俗学者の、卯之助。古びたアパートの一室に同棲し、ささやかながら平穏な日々を送っている二人の元にある日、一人の女が訪ねてくる。彼女の名前は菊、卯之助の娘。 天真爛漫な菊と突如始まった共同生活。人と話すのが苦手な青菜は菊のことを受け入れられずにいた。 そんな青菜は出会ってしまう。月が綺麗な夜、水面が煌めくプールで、不思議な瞳をした“彼女”に––––。夢か現か……その日から青菜は、見える世界が変わりだす。これは、この曖昧な世界で生きる人々の物語。
©大河聡