まる

天使の涙 4Kレストア版のまるのネタバレレビュー・内容・結末

天使の涙 4Kレストア版(1995年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

ウォン・カーウァイ二作目。
新文芸坐 オールナイト上映二本目。

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本や音楽もそうなんだけど、出だし部分で"好きだな"と感じるとだいたいその作品は自分にとって大切なものになるし。映画にとってもそうだったんだと感じた時間だった。

殺し屋とパートナーの話、言葉を話せなく感情表現の苦手な男性の話が交互に織り成されていき。それぞれの話が全く別のものではなく、相互関係にある物語性は自分好みであり、目が離せなく夢中になれた。(
夢中にされた理由は後ほど記載)

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設計された登場人物の特徴も見事だったと思う。

"殺し屋"は(登場人物の死)というピースを常に散りばめているので、映画全体に緊張が走る。いつどこで誰が死んでしまうのではないかということを考えながら、観ることになるので細かい動作や感情の変化に対しても敏感になっていた。

言葉を話せない男の話でも、身振りや手の動きを使って感情を表現するんだけどしっかりと観てないとどんな気持ちを伝えているのかが把握出来ないので自然と目で追っていた。

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話の具体で言うと、物語を追うごとに、二人の男性の感情が大きく揺らぎ新しい気持ちが芽ばえる過程が好きだったな。

殺し屋は、感情を捨てて生きていたが同級生や自分に対して100%の感情を伝えてくれる女と出会って芽吹いくものがあり。
言葉を話せない男にとってもとある女と出会い、初恋をしてからビデオを回すようになったりと行動や仕草が変わっていった。

特に惹かれたのがそれぞれの話が独立している訳ではなく、登場人物が後半にかけて混じり合い同時に一緒の空間で過ごすシーンなどが入っていたことだった。

一緒のシーンがあることによって、
"あ、これ別々の時期の話じゃなくて。同じ時間軸の話であり、場所も地域も似ていたんだ"と感じさせられることが出来て、より没入感を与えられる設計になっていたなあと感じた。

最後のバイクで駆けた後空に視点が移るシーンはとても好きで、もう一回じっくりみたいなと感じる。
まる

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