Uえい

花様年華 4Kレストア版のUえいのレビュー・感想・評価

花様年華 4Kレストア版(2000年製作の映画)
4.0
去年「エブエブ」で本作をパロディしたシーンがあり気になっていて、ようやく見れた。大人の男女の付かず離れずの恋愛模様が描かれていた。お互い結婚していながらも不倫的に惹かれ合う様は「ロスト・イン・トランスレーション」にも似ていた。

舞台は1960年の香港だった。チャウ(トニー・レオン)の夫婦と、スー(マギー・チャン)の夫婦があるアパートの隣同士で、同時に引っ越してきた所から始まる。

チャウの妻は仕事が忙しくすれ違い、スーの夫は海外出張が多く孤独だった。初めはお互いに挨拶する程度の仲だったが、徐々に親しくなっていく。そしてある日、お互いの妻と夫が不倫関係である事に気付いてしまう。

二人はお互いのパートナーの代わりを果たすように親密になっていくが、一線は超えなかった。そんな中、チャウがシンガポールに行く事になり、二人の今後の関係についての選択を迫られるのだった。

ドアや手すりなどに置かれた手のアップが多く、印象的だった。結婚指輪による制約、一線の強調だろうか。「別れる決心」でタクシーの後部座席で手を重ねようとするシーンがあるが、本作にも同じシーンがあった。

映像の撮り方によるアバンギャルドさのようなものはあまり無く、部屋など美術の色使いや、ドア越しなどで相手を映さないで捉えるなど、テーマにあった構図の巧みさが強調されていた。

「ブエノスアイレス」もそうだったが、別れた後の切なさがたまらない。最後、カンボジアの歴史ある寺院のような建物に向かって何かを言い残すシーンが忘れられない。過去の秘密をそこに置いて去っていったのか。急な歴史的建造物オチという点では「ラストエンペラー」を思い出した笑
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