荒野の狼

マン・オブ・ゴッド:迷える魂の荒野の狼のレビュー・感想・評価

3.0
悉(ことごと)く、出てくる人たちが精神年齢の高くない映画というのは珍しい。と書くと、いかにも馬鹿にしているかのように思われるが、もちろんこれが計算の上である事は、堂に入った俳優達の演技や技術的に破綻のない造りを見れば明らかである、だからその視点(人が作った神を揶揄する健全なる目)で見る必要がある。舞台が黒人ばかりの国、ナイジェリアの映画ってところが珍しいし、そこに意味もある。こういうナイーブなところに、いかにキリスト教というものが誤って伝えられているかを見るのにこれ程分かりやすい映画もないだろう。聖書などは、部分的に聞かされるだけで、読む事もない。言われるままに信じハレルヤ、アーメンで踊るだけ。しかしこの人達にも実は本当の信仰対象であるアニミズムやシャーマンと言った魂に即した神や儀式が存在する。ただそれが体系化されたロジックになっていないだけなのだ。まあ、技術経済大国だってこの事情は大差ない。ニセ宗教によって骨抜きにされた信者がいかに多いことか。
西加奈子の『サラバ』という小説に、こんなフレーズがある。「自分の信じるものを他人に決めさせてはいけない」。
荒野の狼

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