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レイモンド&レイのロアーのレビュー・感想・評価

レイモンド&レイ(2022年製作の映画)
3.6
ユアン・マクレガーとイーサン・ホークが腹違いの兄弟という設定で、そのキャスティングだけで期待大と配信前から楽しみにしていたAppleオリジナル映画です。

真面目で普通を好むくせに実は中々ぶっとんでるユアン・マクレガー演じるレイモンド。
一見粗野なようで繊細で不器用なイーサン・ホーク演じるレイ。

見た目と中身がチグハグで、何をとっても対称的な兄弟を演じる2人の醸し出す雰囲気がとにかく絶妙。ユアンって普通の人の役を演じることが結構多いけど、普通の人って逆に演じるのが難しそうだといつも思うし、イーサン・ホークの繊細さは物言わずともその佇まいから滲み出ているようで、本当に2人ともハマり役でした。

別れのひと言を求められ、2人がこれまで父親に対して抱えてきた想いをぶつけるシーンが感情の描き方としてもユアンとイーサンの演技表現としてもすごく良かった。結局2人とも言葉じゃないんだよね・・・この割り切れない感情は確かに言葉では言い表せない。

そもそも腹違いの兄弟でレイモンドとレイって名前からして一体どういうこと?と思っていたら、中盤で名前に関するクズ親父のクズいエピソードが語られ、更にラストでまたえ!?と思わされ・・・
次々明かされる予想できない真実にクスッとなるので、確かにジャンルとしてはコメディなんだろうけど、どちらかと言うと白と黒では割り切れないしっとりとほろ苦い大人のヒューマン・ドラマといった雰囲気の映画でした。今作が気に入った人には「フォーリング 50年間の想い出」をオススメしたい。

MEMO---
・棺に両手をちょこんと添えてエグエグ泣くユアンがあざとかわいかった。その直後、ちゃっかりやらかしてるシーンには思わず「ちょ、オマッ!」となって爆笑。
・全てが分かった後だと、それぞれに宛てた遺品の中身に対してレイモンドはもっと怒り狂っても良いのでは。
・サイモンは最年少にして強キャラ感ある。
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