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フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)のpapandaのレビュー・感想・評価

4.5
伊福部先生の不気味な音楽で始まるその作品世界。この頃ゴジラは明るく軽くなっていて、その反動のように久しぶりに重く怖い特撮映画だった。タンパク質を与え続ける限り生き長らえる身体、じゃあ広島の爆心地であそこまで成長するのに必要だったタンパク質とは何だったのか、考えると背筋が凍る。無垢な心のままのフランケンシュタインに対して、彼をあくまでも研究対象として手足を切断しようとする科学者の身勝手さ冷酷さ、でも冷酷になりきれなくて酒の力を借りようとする人間っぽさ。自分達と異質なものを排除し殺そうとする人々の動きは、関東大震災の時の朝鮮人たちの虐殺にも通じるだろう。
今回はバラゴンを倒してガッツポーズのまま地割れで地の底へ落ちていく国内版のラストだった。アメリカの配給元の「タコを出せ」という要求で作ったタコと湖に沈んでいく海外版?もあるけど、国内版の方がスッキリしていていい。
特撮シーンの量も質もすごいレベル、本多監督の丁寧な作りもとてもいい。そして伊福部先生の音楽、この作品世界をしっかりと包んでいる。堪能した。
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