僕は音楽にもピアノにも疎く、フジコ・へミングさんのこともなにも知らず、予告編の知識しかなく観た。正直、「魂のこもった演奏」というのがどういうものなのかよくわからない。ただ、好きなことを生業とし、好きな>>続きを読む
初のマレーシア映画。最後の方の兄の声にならない叫び、兄弟の会話、胸を抉られるような思いで観た。社会の分断や格差の拡大などはマレーシアの“今”の姿だろうが、移民排斥、外国人差別偏見などは日本にも重なる。>>続きを読む
ずっと緊迫感が続く映画だった。場面はオリンピックを報道するテレビ局のスタジオとその周辺のみ、事件の様子はモニターの画面とレポーターの音声のみ。当時の報道の様子がありありと伝わる。これがスポーツ専門のス>>続きを読む
アドノア島でのゴジラとラドンの戦いで、一音ずつ上がっていく本来のまっとうなゴジラのテーマとラドンのテーマが復活して、それがまず嬉しい。そして、「体長120mのロボットという有り得べからざるもの」と「人>>続きを読む
ラスト、みんなが一緒に音楽を奏で一緒に楽しむ。性別も肌の色も年齢も出自も障がいの有る無しも関係なく。この幸福感。これが音楽本来の姿だと思った。でも、この映画の描く30年前のクラシック界では保守的な権威>>続きを読む
初めてのデンマーク映画。タイトルからドラマチックな感動が待っていると思ったけど、騙された。いい意味で。なんとも陰鬱な映像、過酷な自然、陰湿で陰険で陰惨な権力者。それを切り拓いていく成功の喜びや擬似家族>>続きを読む
第1作はよくスクリーンで観られるけど、この第2作を劇場で観るのはずいぶん久しぶり。第1作公開の半年後の公開、しかも間に「獣人雪男」をはさんで、かなり急ピッチで作られたのだろう。こじんまりした感じは否め>>続きを読む
強迫性障害による潔癖性って、見た目には全然わからないから、周囲の誤解や色眼鏡も強くて相当生きづらいんだろうな。二人は初恋の相手とそのまま結ばれているみたいで、恋愛についてはお互いかなりpureなんだろ>>続きを読む
開始いきなりのショッキングなシーンでビックリした。手入れされていない部屋や流れていくだけの生活の描写でどうなることかと思ったけど、そう来るか。離婚寸前、お互い「無」に成り果てた結婚生活の末に事故死した>>続きを読む
そこそこ面白かった。最近のテレビ局をめぐる騒動とリンクしてグッド・タイミング。報道がショウと化してしまう功罪があり、上層部と普通に真面目に働く社員や局員との乖離もある。でも、映画中の時間と映画を観てい>>続きを読む
ピュアな恋物語でよかった。最悪な出会い方をした二人だけど、バイトの連絡ノートでお互いのことを知らないまま言葉を重ね心ひかれていく。勘違いとすれ違いが重なってややこしくもどかしい展開になるけど、最後は誤>>続きを読む
ずいぶん久しぶりに観たけどやっぱり面白い! 一室内で5人の男共だけの会話劇、まるで舞台を観ているみたい。でも、18年前に初めて観た時と同じように、にやにやしてクスクスしてドキドキしてはらはらしてワクワ>>続きを読む
場所はほぼ教室の1ヶ所のみ、登場人物は25人なので、人物が混乱するかチラッと顔が映る程度の人もいるかと思ったが、ちゃんと全員見せ場があってよかった。自殺の原因は何なのか、序列をつけたのは誰で何の目的か>>続きを読む
ご当地映画+怪獣映画ってどんな映画なんだろう、まるで見当がつかない、とんでもないゲテモノ映画かもしれない。不安があったけど、意外や意外、なんか清々しい映画だった。ご当地怪獣映画を作る市役所職員が主人公>>続きを読む
すげえ面白かった。とにかく肉体を使った、せいぜいナイフや鉄パイプを使っての殴り合いや蹴りで勝負するのがいい。スピード感とか殴られた痛みとかがすごく伝わる。九龍城砦の迷宮、混迷、混沌、魔界城塞感がとても>>続きを読む
恋人が亡くなった喪失感から立ち直る主人公というドラマチックな物語を想像していたら、とても静かな映画だった。主人公が幸福そうなのははじめの数分だけで、出てくる人みんな大切な人(多くは恋人や妻や夫)を急に>>続きを読む
これはまたおっそろしく生真面目な映画だった。楷書できっちり書かれた書を見ているみたい。台詞も俳優さん達の演技も固いというか背筋がピンッと伸びきった感じ。そこが小泉堯史監督らしいのだけど。でも、コロナの>>続きを読む
原作は知らない。最初の設定がいまいち分からず、誰と誰と誰が何のために戦っているのか、なぜあの高校なのか、さっぱり分からないまま観ていた。ギャグの繰り返しが鼻につくし、無駄に長いように感じた。ラストで人>>続きを読む
沖縄の美しい風景に心清い美男美女、そして難病ものときては、感動させよう泣かせようの意図丸見え。それに乗っかってみようじゃないか、という感じで観た。出てくる人みんな好い人ばっかりだな。僕は相手の幸福があ>>続きを読む
在日三世で苦労した祖父母や両親、そして阪神・淡路大震災での塗炭の苦労。その話を聞かされて育ち、じゃあ自分はどうしろっていうの? 聞き流すわけじゃないけど、今を精一杯生きるしかないのかな。親子といっても>>続きを読む
面白かった。こういう顔を隠したヒーロー・ヒロインものは、主人公の見た目と実力のギャップが大きければ大きいほど、悪役がイケメンで強くて陰惨で陰湿で陰険であればあるほど、面白くなる。この映画、見た目は超キ>>続きを読む
特撮も物語も昭和感満載。死を覚悟しながら任務を全うする侍スピリット。緻密なデータと映画の大嘘。懐かしい昭和の名優達がこのあまりにもバカバカしく荒唐無稽な物語を真剣に演じているのがとてもリアリティを感じ>>続きを読む
自分の思いや考えを伝えるのに使う言葉、相手を説得するのにも言葉、言葉で笑わせたり感動させたりする芸能もある。戦時中その言葉の専門家達が言葉で戦意を高揚させたり、嘘の情報で国民感情を操作したり、国のため>>続きを読む
「あんのこと」の次の入江監督の作品はどんなものかという興味があったが、これは思い切ってエンタメに振り切っていた。次から次へととにかくごちゃごちゃあって、一回観ただけでは整理がつかない。金と人と物がふん>>続きを読む
晋作の人懐こく楽天的で真面目な人柄は、菅田将暉さん本人かと思うくらいはまってた。震災の話を聞くのに釣りの手を止めて居ずまいを正してきちんと聞こうとする姿勢は、地元の人達に受け入れてもらうのに絶対必要な>>続きを読む
まず真っ先に自然の大きさと過酷さに目が行く。当時ろくな防寒具も防寒着もなかっただろうに、あのものすごい山のなかでどうやって撮影したのか、ただただ驚く。
この映画は谷口千吉さんの初監督作品、三船敏郎さん>>続きを読む
久しぶりに観たが面白い。冒頭の役所さんの「ハ?」の繰り返しの間と表情がなんとも可笑しい。樵の克彦が武骨で一本気だけど家族や仲間思いですこぶる人がいいのが素直にわかる。一方の幸一は映画オタクがそのまま大>>続きを読む
まずは映像の美しさん驚いた。冒頭の大波のシーンは北斎の版画みたいだし、波を割るところは「十戒」のモーゼみたい。ストップモーションアニメということだけど、細かな動きや表情、激しいアクション、異形のもの達>>続きを読む
西田敏行さんの追悼上映で久しぶりに観た。22作あるシリーズの中でこの作品が上映されるのは、この作品の舞台が西田さんの故郷の福島県だからだろう。この作品で東日本大震災とおぞましい原発事故以前の長閑で美し>>続きを読む
久しぶりに大きなスクリーンで観た。色も音もとてもクリアで観やすいけど、昔の名画座の色褪せてコマ飛びや音飛びのあるフィルム上映も懐かしい。
大海原、古代の帝国、超高性能潜水艦、これだけお膳立てが揃ったら>>続きを読む
この手の映画は正直苦手。映画として他人事で見ていてもなんか鬱陶しいのに、ああいう人が身近にいたら絶対に近づかないだろうな。まして家族だったらたまんない。まあそう思わせるのも河合さんや金子さん達の演技に>>続きを読む
面白いとは思った。あのバイタリティはすごい。でも、特に前半、全く共感できなかった。自分を評価しない作家や編集者に対して邪魔をしたり足を引っ張ったり、見ていて気分悪くなった。そいつらを唸らせるほどの作品>>続きを読む
仕事で仕方なく出た旅で自分の中に隠れていた感情に気付いて新たな一歩を踏み出す、という映画らしい。それよりもここで描かれるニッポンやニッポンジンへの違和感が半端なかった。外国の人が外国人の目線で日本や日>>続きを読む
こんな奴身近にいたらイヤだな、という感じ。自分のことしか考えてないし自分の言いたいことは言うけど人の言うことはろくに聞かないし周囲を見下してるし現実をちゃんと考えてないのに夢と妄想だけはでかくて。バイ>>続きを読む
これは拾い物だった。面白い! これが実話が元というのにも驚く。店も蓄えも全て失くして詐欺にまであって、子供たちと引き離されて、もう無我夢中、藁にでも縋る気持ちで詐欺組織を探すドッキさんの必死なこと。捜>>続きを読む
とてもカラッとした空気の具合、空や海の色、人の気質、南イタリアって感じがいい。小さな島の青年の純粋さと初老の詩人の強さを秘めた柔らかさの対比もいい。ふたりが親密さを深めていく様子と青年の恋の成り行き。>>続きを読む