はみー

リバー、流れないでよのはみーのレビュー・感想・評価

リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)
4.5
Twitterで見かけて面白そうだなと思って鑑賞。
お恥ずかしい話になりますが、トーホーの一般料金が値上げされているのにチケットを取る時に初めて気づき「うわっ邦画で二千円か…これでハズレだったらしょんぼりしちゃう(外国語映画だと違う国の景色が見られるというところでなんとなくお得感を感じてしまう)」などとケチくさいことを考えてしまったのですが、いざ映画が始まってしまえば値段が何だとかは一切忘れてしまう傑作でした。
2分のタイムループもの、というあらすじだけ知っていたのですがゆらゆらと流れるようなカメラワークと音楽であの旅館に自分も居るような気分にスッと入り込めます。
居合わせたお客さんや従業員たちのキャラも立っているし題材的にコントになりそうなところをほどよいバランスで群衆コメディドラマに仕立てている。2分でリセットされるのでめまぐるしいっちゃめまぐるしいんだけど適度にゆるい会話で見てて疲れません。
2分ごとに主人公である中居の女の子のスタート位置(川のほとり)に場面が戻るのですが毎回カメラの入り方が心情や展開に沿ってて素晴らしく効果的です。あととにかく脚本が秀逸。小さな伏線があちこちで生きてきたり、意外な展開になったりで気持ちいいです。あと、悪い人がいないので安心して見られる。
中盤で恋愛的な要素が入ってきたので「え〜…そういう系?」とちょっと冷めかけたんですがそれもちょうどいい塩梅で青春!って感じで良かった。
主人公がとっても可愛くて良い子で、でも絶妙にちょっとウザいのがすごくいい。あの男の子が距離を取るのも分かる。
冒頭に異次元に可愛い女の子が出てきたな、と思ってたらほんとにそういう存在だったのも「ほお〜!」と感心しました。
エンドロールが流れた瞬間に唐突にグッときて、何故か泣いてしまったんですがこれが何の涙かわからなくて…感動というのともちょっと違うし…
後から考えると多分、ラストの主人公の表情がめちゃくちゃ良かったんだと思います。あそこは話の最後として、ちょっと前向きな顔をするとか「それでもがんばろう」みたいな締めをするのが定番だと思うんですが、この映画はそうではなくて。一応ハッピーエンドではあるものの主人公はちょっと不服そうというか、諦めたみたいな複雑な顔をしている。本当にそれがすごく良かった。とてもいい作品を見ることが出来ました。
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