個展のため作品制作に没頭したいのに様々なアクシデントで思うようにいかないリジー。
自身も個展を控えるアーティストながらやりたい事しかしない奔放な隣人ジョー。
対照的に見えて共通する自分ファーストな2人を軸に、アーティスト(人)と彼、彼女たちが暮らすコミニティー(街)のポートレート。
地下にこもって1人黙々と粘土をいじるリジーの創作と、隔たりを取り除き周囲との繋がりに生じるケミストリーを楽しむ創作のなだらかな対比。
自分の領域に紛れ込んでくる他者が持ち込むアクシデントにイライラしながら、支配の及ばない混沌が、作品へ影響を齎すことに戸惑っていくリジーの不器用で純粋なキャラクターがいい。
良くも悪くも、どんなことも共有し受容していくことがアーティストの、退いては人間の自然なスタイルだと言っているようだ。
生活音と交じり合う心地良い音楽とスクリーンを右から左へ、左から右へ移動していくタイヤにスケボー。端正なルックにも目を細めてしまういつものケリー・ライカート作品でありながら、そのメッセージや精神はより自由に。あの鳩のように翔んでいく。
ティーチインによってshowing upするケリー・ライカート監督の人物像。
聡明で温かく。
ますます好きになった。