イワシ

ショーイング・アップのイワシのレビュー・感想・評価

ショーイング・アップ(2023年製作の映画)
4.5
卓上の彫刻とテーブル底部と脚で縁取られたフレーム内の鳩。同一画面に映りながら、テーブルの上/下、ガレージの内/外で区切られたこれらが同じ空間、同じ高さ、同じ平面を共有する。ミシェル・ウィリアムズが彫刻から鳩に手を伸ばし優しく触れるまでのゆるやかなパンの感動。

一階から二階への垂直的な移動、受け渡しのための水平の移動と鳩は多くの動きを要請するが、倒立や側面が焦げた像もしゃがんだり回り込んだりと様々な見方を要請する。鳩の飛翔は人間を彫像化しつつも、ミシェル・ウィリアムズとホン・チョウを外へ誘う。鳩/彫像/人間が箱/ギャラリーから外に出ること。

飼猫が襲撃した鳩を手当てもせずに窓から捨てたミシェル・ウィリアムズが翌朝ホン・チャウに同じ鳩を見せられ、そうとは知らないチャウが哀れみを共有しようとする場面の気まずさに声を抑えて爆笑。『ファースト・カウ』でも見られた動物にかかわるユーモア。
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