せいけ

ショーイング・アップのせいけのレビュー・感想・評価

ショーイング・アップ(2022年製作の映画)
5.0
狂人こそが芸術の圧倒的境地まで辿り着けるという空想を打ち砕くかのように、インディペンデントな芸術家の日常を淡々と描く
ケリー・ライカートにしては珍しくその場に留まり地道な作業をこなす人物が主人公だが、外的要因によってそれがままならない
狭い範囲あっちこっち行くという意味ではこれまで通りロードムービーといえるかもしれない(さすがに言い過ぎかも)
個展を前にシャワーを浴びたいと何度も口にするのは滑稽ではあるけど、切実でもありどこか政治的にも見えてくる
自分の都合だけでは動けない日常へのストレスがこの映画のサスペンス的な推進力になっている
芸術家一家という意外と今まで見たことない距離感の家族の設定もユニークだった
毎度のことながら話がどこに展開するか分かりづらいのに映画を持たせるケリー・ライカートのショットセンスは凄まじい
ミシェル・ウィリアムズもさすがの存在感