"一頭のロバの目から見た愚かなる人間の営み"
主題としては着想元の『バルタザールどこへ行く』をなぞってはいますが、やはりスコリモフスキのそれは、ブレッソンとはまた違った凄みがあります。
破壊的な映像と音響がむき出しのまま放り出され、圧倒的な没入感を味わえます。
そして、あらゆる予定調和を問答無用に切り捨てていく、暴力的とも言える編集のリズムには息を呑みました。
やんちゃなサッカーチームとそのサポーター、メタル好きのトラック運転手、故障した車を放置し、EOを連れて帰る気のいい兄ちゃん。彼らのエピソードはユーモアすら感じさせるのですが、それも世の中の二面性を描くためのフリとして、とても効いてます。
そして、鳴き声も含めた、獣たちの鬱陶しいまでの存在感が凄い。
久しぶりに、剛速球をボンボン投げ込んでくるエネルギッシュな映画を観ました。