KAIRI

逆転のトライアングルのKAIRIのレビュー・感想・評価

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)
4.0
見終わった後にいろいろと考えるとこの映画の本質的な面白さがどんどん見えてきます🧐

途中で全ての立場やヒエラルキーが逆転すること、そしてブラックすぎる皮肉ネタが光る唯一無二な雰囲気がたまらない映画でした😌
立場が逆転すると言っても「金持ちめ!ざまあみろ!」というような映画では無いです。

ファッション業界、男女格差、現代社会の階級問題、人の外見と中身など様々な面に焦点を当てたブラックユーモアは笑えるか笑えないかのギリギリをかなり責めてます。

近年、流行りつつある嘔吐ネタも健在!
かなりの迫力でゲロが出ます🤮

ラストはスッキリとした終わり方はせずラストの意味やその後の展開を考える映画なので、自分の想像力を掻き立てて物語に結末をつけなければいけません。










⬇⚠️ここからネタバレあり




☆ファッション業界について
H&Mでは安っぽい微笑んだ表情、バレンシアガでは不機嫌そうな表情をするというインタビュアーとの掛け合いは皮肉が効いてて面白い。
しかし、いざオーディションになると審査員の人は「今のファッションは内面も大切」だと言う。
ここが外見と内面という着眼点。
その後に一流モデルとしてランウェイを歩くヤヤの姿。
この時点でヤヤ(一流)の内面がしっかりしてるというのを既に表していると思った。


☆男性像と女性像の考えかた
男性が奢るべきだという考え方が根底にあるヤヤと平等であるべきだという考えを推すカール。
インスタ用の写真を撮る時の撮影担当はカール(男性)だという考え方。
男性は火の見張りをして、女性は寝るという考え方。
このように、男性はこうであるべき女性はこうであるべきという考え方があからさまに出てる。

☆金で解決させるセレブへの皮肉
ロレックスの時計で喜ばせようとするナンパする金持ち。
死んだ夫人のアクセサリーをさりげなく取るシーン などなど
命と金を天秤にかけるような皮肉は面白いけどブラック…

ストーリーは3つのチャプターに別れて進んでいきます。
チャプター1「カール&ヤヤ」
チャプター2「ボート」
チャプター3「島」

チャプター1について
どちらが奢るかで争う2人の姿は普段よく見る景色でありながらも、話を引きずるとこやどうしようもない滑稽な姿が笑える。


チャプター2について

船の中で行われる行動や登場人物は社会の縮図やヒエラルキーを超わかりやすく映し出して皮肉ってる⛴️
セレブと従業員の掛け合い、客室乗務員は白人で船の下層で働いてる裏方スタッフは黒人というとこなど。

問題の船酔いのシーンはそこら中で嘔吐する人続出、さらに便器から大小便は逆流して船内は大パニック🤮

クソを売って金持ちになった夫人はクソで溺れる。
武器商人の夫婦は自分たちが作った手榴弾で吹き飛ぶ。
ここら辺の自業自得さは魅力的。


チャプター3について

下の階層にいたトイレ清掃員が一気にトップにあがり、立場や上下関係が全て逆転するチャプター3
トイレ清掃員と金持ちたちが逆転するのはもちろん、カールとヤヤの関係性も逆転。
細かく見ると様々なことが逆転しているのが面白い。


ラストシーンについて

実は、無人島ではなく観光の施設だったことが判明!
ヒエラルキーが元に戻ってしまう予感が漂います。
トイレ清掃員は岩で殺そうとするが…
ヤヤが「私のとこで働かせてあげる」的なことをポロッと。
この瞬間、2人は中立になったと僕は感じました。
この状況でヒエラルキーの頂点に立つのはどっちだ!?
となったときシーンは切り替わって全速力で林を駆け抜けるカールが映し出されます。
カールは一体どちらを選ぶのか…
というところでこの映画はエンドロールになります。
見終わってから考えるとカールがどちらを選ぶのか、あの後どうなってしまうのかという想像をかき立てられる良い終わり方だと思います。
KAIRI

KAIRI