静かだが、見事に少年たちの内面を描き出し、見ている者に共感をおぼえさせる作品。
設定を微妙なラインに持って行くことにより、より少年たちの繊細な心情を描き出しているのは、監督の力量と言えよう。
友情以上同性愛以下の、おまけにセックスを伴わない年齢と言う、一歩間違えれば児童ポルノになりかねないきわどい線で今作をまとめているのはアイディアの勝利。
落としどころに「もやっ」とした感じがあるのも、これはこれでアリだろう。
日本的な常識で考えてしまうと「では責任はだれに」と思うのだが、これも脚本や設定が上手く、関係者全員にうっすらと責任があるような気もするし、また、誰にも責任が無いようにも取れる。
意見の分かれるところだが、個人的には「責任は存在しない」と思える。
こうなるしかなかった。又はほかに逃げ道は無かったとも言える。
ラストに責任を感じて告白する主人公だが、彼の「突き放した」と言うのは至極まともな行動で、悪意は無いし、成長過程の子供なら当然の選択だろう。
この「どうにもならなかった」感が、一層物語を引き立てている。
上手い脚本と監督の演出、そしてノスタルジーと後に残る疑問を楽しめる良作。
余談。
今作を大人の男女に置き換えてみると、逆にその設定の上手さが分かる。
大人の男女だと、単なる痴話げんかの暗い話で、メロドラマ以下となるだろう。