永遠を壊したのは君ではない。何にでも名前をつけて区別する人間と社会。
男子にオンナオトコと呼ばれて社会的な性を意識し始めたレオはアイスホッケーを始めて「男らしい自分」になろうとする。
男友達に「顔色悪いな生理か?」と言われても周りに合わせて笑うだけ。
あの日がやって来た後もただ黙々と家業の花の収穫を手伝う。ホッケーで何度も体当たりして怪我をする。更衣室で友達とタオルで叩き合って笑顔を取り繕う。
初めは花畑であの子と競走したりベッドで語り合ったり、あの子のオーボエの演奏を幸せそうに見ていたのに、次第にアイスホッケーやシューティングゲームなど「男らしいもの」に囲われていくレオの姿が見ていて悲しかった。
泣いてはいけない、馴れ合ってはいけない男の子の生きづらさを感じた。
なぜ私たちは自分を蔑める人に合わせて自分の大切な人を遠ざけてしまうのだろう。なぜ本当に大切な人を大切にできないんだろう。
自分や他人のあり方を区別したり無理やりその中に押し込んではいけない。社会が押し付けるあるべき姿に囚われて大切なものを見失ってはいけないと思える作品だった。