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ブロークン・イングリッシュのakrutmのレビュー・感想・評価

3.7
真剣に付き合える男性となかなか巡り会えず傷心のアラサー女性が、あるフランス人の男性と出会うことで、臆病になっていた恋愛に踏み出していく様子を丁寧な筆致で描いた、映画監督で俳優のジョン・カサヴェテスを父親、俳優のジーナ・ローランズを母親、映画監督のニック・カサヴェテスを兄に持つゾエ・カサヴェテス監督のデビュー映画。

主人公の女性ノラを演じるのは、ハル・ハートリー作品などに多く出演してインディース映画の女王(でもちゃんとメジャー映画にも出演している)と呼ばれているパーカー・ポージー。個人的に、彼女の雰囲気とか演技が好きで、本作でもいつも恋愛がうまく行かず男性を信じることができなくなってしまい、精神的にも不安定な女性を、十分な説得力を持って演じている。ただし、プロットとしては、前半がかなり丁寧にノラの心情を描いていただけに、後半のノラの描き方に、尻つぼみな印象を拭えなかった。特に、パリを訪れてからのシーンはパリで撮影したイメージビデオを観ているようで、もっとノラの心情を観たかったと思うのは、自分だけだろうか。

脇役としては、ジーナ・ローランズがノラの母親、ピーター・ボグダノヴィッチがノラの義父として出演したりしているのが印象的。ノラの相手役のメルヴィル・プポー(『ぼくを葬る』での余命短い若者役が記憶に残っている)のイケメンも良し。なお、本映画の音楽を担当したスクラッチ・マッシヴというフランスのDJデュオが、ちょい役(パリでノラをカフェに誘った男性の仲間とそのカフェのウエイトレス)で出演している。
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