Tomo

トリとロキタのTomoのレビュー・感想・評価

トリとロキタ(2022年製作の映画)
4.3
🇫🇷ダルデンヌ怒りのエネルギー🇧🇪


とにかくヒリヒリする緊張感、そして訪
れる無力感。

バックミュージックや必要以上の表現を
削ぎ落として、観るものに訴えかけるダ
ルデンヌ兄弟の真骨頂!


アフリカからベルギーに移民としてやっ
てきた「偽りの姉弟」少年トリと少女ロ
キタ。
2人の頑ななまでの友情と、2人を取り
巻く残酷な現実を、リアリティに溢れ描
かれた作品。


移民が置かれる立場っていうのは日本人
にはピンとこない。
けど、結局2人のようにヤクの運び屋と
いった裏の仕事にしかつけないのが現実
なんだろう。


当たり前の人権、そんなものは与えられ
ず、不要とあれば闇に処分される。
実際に、そうして失踪者となった移民の
人はどれだけいることか。
この映画を通じて、監督の怒りがストレ
ートに伝わってくる。


2人は自分たちが嘘をつき、隠し事をし
ていることには常に罪悪感を感じている。
けれど、自分たちが生きていく為には、
そうした感情を隠し続けていかなければ
ならない。

実際の兄弟ではない2人が、お互いの為
に罪悪感に苛まれながらも、確固たる絆
で結ばれている姿は、観ていてとにかく
苦しく辛い。

それだけに、ラストの余韻は堪える。
トリの歌う姿には嘘偽りはない反面、
それは弱者であることへの絶望なのか…….
Tomo

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