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トリとロキタのEditingTellUsのレビュー・感想・評価

トリとロキタ(2022年製作の映画)
3.9
こうやって、起こりうる物事を淡々と映して行って、最後にはここに着地する。
その一連の流れを一緒に経験して、こういう現実もあるんだよって言われた時に、何を感じるのか。

でもやっぱり、ドキュメンタリーと違うのは、演出が入ってるということ。
ネズミを買って猫が食べて、犬がいじめて、棒で殴る。
まさにこれ。こんだけ残酷な世の中がすぐ近くにある。

トリとロキタ。
電話しないとロキタはパニック障害になっちゃう。そんなロキタでも信頼して、危険を冒してまでもついていくトリ。
しかし、二人は家族ではない。難民のボートの上で出会ったんだろう。
それぞれの家族も過去もほとんど語られないなかで、この二人がなぜここまで信頼、絆を育んでいるのか見ながら想像する。
そして最後のトリの表情から、トリの未来を想像する。決して明るくはない。何も見えないんだけど、確実に前は向いている。後ろを向いてちゃ、ロキタが心配がるもんね。

トリとロキタが働くピザ屋さんのシェフ。
元凶といえば元凶なんだけど、人間としてはいいやつ。二人のことをちゃんと一人の人間として接しているし、頼まれたことはめんどくさいけどやってあげる。
こうやって、一人の人間としては悪くないんだけど、社会にいて、システムの構成員になると、途端に一人の人生を簡単に狂わしていく。
この不条理ながらも現実なのは間違いない、この人生。私たちは何を感じ、何を変えていけるのだろうか。

アメリカの商業映画なんかに比べると、圧倒的に役者の演技が違う。演出入ってんのか?なんテイク撮ってんだ?何時間カメラ回してんだ?っていう全くカメラの存在が気にならない、この撮り方、演出。ヨーロッパにしか撮れないのかこういう映画。
未知。
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