パングロス

ゴールデンカムイのパングロスのレビュー・感想・評価

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)
4.3
原作未読だが、これは文句なく面白い。
傑作と言って良い。

明治期の北海道は、アメリカでいうなら西部劇の舞台となった地に比せられる未開の大地であったが、加えてアイヌを正面から扱うことで、昨今の「新しい西部劇」(『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』のような)がネイティブ・アメリカンの立場を尊重するのと同様の視座を構築し得ている。

人気コミック原作らしく、活劇が見ごたえ充分なうえに、あくの強いキャラクター造型も不自然ではなく見た目の面白さを倍加させている。

そして、まず指摘したいのは、白銀に覆われた北海道の大自然が惚れ惚れするほど美しく撮られていることだ。これだけでも素晴らしい。
(久保茂昭監督は『レヴェナント』をイメージしていたそうだが、確かに鑑賞中、同作のことを想起していた。)
アイヌ文化の再現も、当事者や専門家がしっかり監修しリスペクトが感じられて安心できる。

コミックの映画化ものに引っ張りだこの山﨑賢人だが、シリーズ化して若干単調さも感じないではない『キングダム』より本作の方が良いのではないか。

映像化権の獲得にあたって松橋真三プロデューサーは、世界を舞台に勝負できるエンターテインメントを作りたいと思っていた、とのことだが、きっと世界でも高く評価されるに違いない。

続編が楽しみだ。
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