ぶみ

ゴールデンカムイのぶみのレビュー・感想・評価

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)
3.5
果たすべき、使命はあるか。

野田サトルによる同名漫画を、久保茂昭監督、山﨑賢人主演により映像化したアクション。
北の大地・北海道に眠るとされる莫大なアイヌの埋蔵金を探し出そうとする人々の姿を描く。
原作は未読。
主人公となる元軍人・杉元佐一を山﨑、杉元と共に行動することとなるアイヌの少女・アシㇼパを山田杏奈、大日本帝国陸軍第七師団の中尉・鶴見を玉木宏、同団上等兵・尾形を眞栄田郷敦、同団軍曹・月島を工藤阿須加、天才脱獄犯・白石を矢本悠馬、元新撰組・土方歳三を舘ひろしが演じているほか、栁俊太郎、大谷亮平、勝矢、木場勝己、マキタスポーツ、大方斐紗子、秋辺デボ、泉澤祐希、高畑充希等が登場。
物語は、アイヌ民族から強奪された莫大な金塊の存在を知った杉元や、第七師団、土方歳三等がバトルを繰り広げる様が中心となるのだが、まず、原作の漫画については全く知らないため、キャラクター等の再現度は不明であるとともに、本作品についても、予告編で目にした内容が全てという、ほぼ予備知識なしという状態でスタート。
冒頭、「不死身の杉元」と呼ばれる杉元の日露戦争での戦い振りが描かれ、ここが思いのほかと言っては失礼ながら、本格戦争映画さながらの臨場感とクオリティを誇っており、食い入るように観てしまったことから、まさに掴みはOK。
以降、金塊を見つけるべく、手掛かりとなる囚人の刺青を見つけ出そうとするサスペンスと、それを巡ってのバトル、そしてそこに北の大地である凍てつく北海道を舞台としているが故のサバイバル要素が加わるため、エンタメ度は抜群であり、クルマではなく馬中心の時代だからこその、馬に引かれてのハイスピードアクションは、見どころの一つ。
また、予告編からはあまり感じられなかったのだが、コメディテイストも結構盛り込まれており、脱獄犯の白井を演じた矢本がオーバーアクト気味であったのが気になったものの、総じてバトルの中の箸休めとなっていて、緩急の付け方も上手いなと感じたところ。
加えて、その矢本同様、アシㇼパを演じた山田の台詞回しが、やたら説明っぽくなっていたり、玉木に至っては、もはやホラーのような設定だったのが気になったものの、漫画が原作ということもあってか、物語が進むにつれ、徐々に慣れてきた次第。
流石に一部シーンで合成感が出てしまっていたり、不死身の杉元らしく、時折重力無視なアクションがあるのは仕方ないものの、北海道ならではの凍えるような寒さが伝わってくる映像のなかで繰り広げられる金塊争奪バトルに釘付けとなり、人間だけではなく、登場する動物たちのクオリティも文句なしであるとともに、男性中心のキャストの中、山田の透き通るような白い肌と、時折挿入されるグロさが対照的であり、原作を知らずとも、純粋なエンタメ作品として楽しめる仕上がりとなっている一作。

だったら俺は特等席だ。
ぶみ

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