このレビューはネタバレを含みます
大人気マンガの実写化。山崎賢人主演ということもあり、どうしても「キングダム」は比較対象になるか。そんでもって、本当に前提知識皆無だったから、今作が北海道の砂金をめぐるやり取りとは知らなかった。そして、冒頭の日露戦争の激しさ。ここから度肝を抜かれる。「プライベート・ライアン」のノルマンディー上陸作戦を引き合いに出すのは持ち上げ過ぎかもしれないが、もうこの辺は割とハリウッド作品とも遜色なくないか？最近見たどのハリウッド作品よりも音の迫力が凄かったよ。「ゴジラ−1.0」がアカデミー賞にノミネートされているし、いわゆるハリウッド的な超大作系でもしっかりとした基準に、ハリウッドよりも破格の資金で作り上げているだろうところはシンプルに凄すぎる。
冒頭のシーンがかなりクオリティ高くて、シリアスな雰囲気があったし、雪に熊に血の生々しさって「レヴェナント」っぽい！とも思っていたら、矢本悠馬演じる白石が出てきたあたりからマンガ的なコメディ感が入ってきて、原作を知らないもんだから、あ、そういうノリもあるの？ってびっくりしてしまった。どうやら原作はかなりコミカルみたいで。個人的にはもうちょっとギャグ少なめのシリアス寄りの方が好みかなぁなんて思ったけれど、マンガ実写化の面白さと良さを生かすという意味ではこのくらいが良い塩梅なのかな。川に落ちて震えてマッチ探して点かなくて、というくだりは完全に出川と上島に見えたよ。関節外してのヌルヌル潜入も笑う。
それからアリシパ役の山田杏奈。リスを捕まえたり、味噌をみて“う⚪︎こ”連呼したり。“う⚪︎こ”連呼し過ぎな。分かりきってはいたけれど、最後に味噌を美味しくいただくところはめちゃくちゃキュート。結構、色々な作品に出ているものの大作にはあまり出ずに独特の作品選びをしている印象があったけど、今作は初めてに近いくらい王道な作品のメインどころ。個人的にもちゃんと作品見るのは初めてで、ちょっと幾田りらに似ている？と思った。
それから、アイヌの文化をしっかり丁寧に描いていく。コタンっていう唯一知ってたアイヌ語が出てきたのもお！ってなった。北海道舞台の朝ドラ「なつぞら」主題歌のスピッツ「優しいあの子」で出てくるから。アイヌのコタンでの人々の姿はめちゃくちゃ調べて作り上げてるんだろうな。めちゃくちゃこの辺は文化的に注意は払っているんだろう。実際には「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」のようなアイヌへの迫害があったわけだから。もちろん、イジリ笑いの部分はより注意が必要だとは思う。
それから、山崎賢人、玉木宏よりも舘ひろしがほんの少しなのにクソカッコいい。玉木宏もここまでのサイコ系の役はあまり印象にない。執拗に杉元を追いかけ、死刑囚の肌を剥いで着ているという。ここの漫画的な決めカットもこれはこれで良い。入浴シーンの山崎賢人の肉体もマジで凄い。「キングダム」と行き来しながら、定期的にこの肉体作らないといけないの大変そう。ずっとマッチョ系の俳優じゃないし。ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドやるたびに肉体改造するみたいな。
肉体に刺青で地図入れるって、刑務所いる段階で分からんかったん？とか、最初にマキタスポーツなんでベラベラ勝手に喋って後からあんなに焦ってるん？とか、思うところはあったけれど、全体的なクオリティは漫画実写化のレベルの進化を感じて、この類の作品もハリウッド作品と割と並列に近く楽しめるようになってきたのは凄いなぁと。あと、「キングダム」とか今作みたいに、大金掛けてかつ、しっかり作れる技術力もある時代に実写化される作品は恵まれているなぁと。明らかに大損、大事故に巻き込まれた作品も少なくないと思うから。もちろん、そういった歴史あっての現在の実写化作品ではあるんだろうなぁ。あ、でもやっぱり異世界でファンタジー色強めの作品はハードル高いとは思う。そこは未だに事故って“そう”な作品（見てないから）はありそう。
「キングダム」も「ゴールデンカムイ」もまだまだ終わらなそうだし、この2作が10年単位、あるいはそれ以上で山崎賢人のライフワークになるってこと？もう本当に山崎賢人、大丈夫？ほとんど交互にこの2作やるくらいのペースにならん？他にも作品やるかもだけど。もう、本当に山崎賢人、偉いよ。散々、高校生役の実写化を立て続けにやらされて、その度にあんまり作品の評判は良くなくて。それでも売れるからずっとやらされて。本当はやらされていたわけではないかもだけど。それでやっと高校生役のカルマから逃れたと思ったら、またしてもマンガ実写化で、今度はめちゃくちゃハードでフィジカル、評判は良いけど、まだまだ終わる気配のない超長期化シリーズで。もはや、山崎賢人には同情する。こんなイケメン主人公顔でめちゃくちゃ人気あるからこそなんだけど。原作ファンでもないから言えるんだろうけど、もう少し話飛ばしても良いし、作品ペースも落としていいから、もうシンプルに山崎賢人には身体壊さずに無理せずに休み休みに頑張ってもらいたいかな。
