原作の漫画を読んでアニメも観た上でこの映画を観ました。原作にかなり忠実で日本の実写化映画としてはかなり良い出来だと思います。
ただ、観終わった後の満足度としては意外と低い、ということに自分自身驚いています。期待しすぎたのか? ストーリーをすでに把握しているから新鮮味がなかったのか?
SNSを見る限り、昨今の実写化映画の風当たりは相変わらず強いです。この映画はその逆風に最新の注意を払い、最大限の努力をもって製作されたものだということはスクリーン上でも伝わってきました。それらは賞賛に値すべきですが、言ってしまえばそれだけに留まっているような感じがしました。
原作がアイヌの文化や北海道の大自然やアクション、コメディなどいろんな魅力を含んでおり、それら多岐にわたる魅力を損なわないようにした結果、それだけになってしまっているような、原作の感動を超えてこないような、そんな印象を受けました。
ですが、思慮深い日本の映画ファンなら日本の実写化映画がいかに困難か想像に難くないと思います。スケジュールや予算の都合など、映画を作る上ではさまざまな困難があります。この映画はそれらの困難を乗り越え、実写化映画としてはかなり水準の高いものに仕上がっています。これなら原作のファンも、100%満足することはないかもしれないけれど、納得する出来ではないでしょうか。
「実写化映画はこの映画が基準を作った。今後製作する実写化映画はこの作品を基準にして更なる高みを目指してほしい」
そんなふうに日本映画の未来を託したくなるような映画でした。
P.S. 唯一、白石だけは原作を超えた、ある意味白石よりも白石らしいものに仕上がっています。