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ノック 終末の訪問者のSPNminacoのレビュー・感想・評価

ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)
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ある日森の中、クマさんじゃなくて終末の使者と出会った。そいつの言うことにゃ、お嬢さんと2人のお父さん、誰かを犠牲にして世界を救いなさい……こんな厭ホラーだとは思わなかったよシャマラン。津波とかトリガー・アラートがいっぱいじゃないか。
しかも、聖書の黙示録を捻りなくそのまんまやると思わなかった。なので『ミスト』のような絶望にはならないとはいえ、かなり意地が悪いし、どういう意図なのか掴めない。だいたい自己犠牲の物語が嫌いなので、いっそ報われない方がまだマシ(犠牲は無意味だと)。
ごく普通の一般人の顔して現れた使者が、ごく普通に幸せでありたいゲイカップル家族へ特別な責任を課す。何故我々が?無作為に選ばれし者とは思えないアンドリューは尤もだ。ゲイは罪でもないしスティグマでもない(が、スティグマがある娘は家族に選ばれし者)。なのに彼らだけ残されても人類は存続できない…という点を暗に突いてくるのが底意地悪い。論理的にちっとも納得できない「選択」を押し付ける側の傲慢さよ。ああ厭だ。結局bury your gaysじゃないの。そりゃあゲイカップルを主体(観客視点)にしてるからこそ厭な気持ちにさせるんだが、ただ感じ悪くて引いた。
リチャード・マシスンみたいな不条理の密室シチュエイション・スリラーならば、フラッシュバックよりもっとダイアローグで展開してほしかった。娘が殆ど活躍しないのも拍子抜け。涙目アップショットの演技で魅せるジョナグロはさすがだった。でも不憫。
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