このレビューはネタバレを含みます
・その保育園では対話・言語化を大事にしており、子ども同士がケンカした時は、先生が仲裁するのではなく、“ピーステーブル”に座らせ、本人同士で話し合いをさせる。(先生も基本的には同席しない)
・給食をこぼしたとき、ボールが屋根に引っかかったとき、先生はすぐには対処せず「どうすればいい?」と子どもたちに問いかける。自分で考えたり友達に聞いたりして、子ども自身で導き出した解決策に対して、先生は「じゃあそれをやってみよう」と一緒に伴走する。
・“こどもかいぎ”なる授業では、毎回7〜8人の子どもと先生が輪になって「どうして生まれてきたんだろう?」とか「何でみんなケンカしちゃうんだろう?」といったテーマで自分の思うこと、知っていることを話す。
・もちろん最初はうまくいかない。そもそもじっと座ることすらできない子がほとんど。また、自分の話を延々とする子もいれば、恥ずかしくて何も話せない子もいる。
・それでもその場を何度も経験する内に、段々と他者への理解や配慮、自己開示や表現が身についていく。
・こういった文化の中にいることで、自分の思いを言葉にする力、他者へ伝える話し方、相手の話を聞く力、自分とは違う考え方をもつ他者がいること、自分で課題を紐解く力などを自然と養うことができる
・「子どもは子どもなりに考えている」と言ったりするが、知識や語彙力に差があるだけで、考えていることは子どもも大人も本質的には変わらないように感じた。
・「子ども自身に考えさせて実行させる」は非常に素晴らしいが、現場の先生には苦労も色々とあるんだろうなと想像した。
・色んな所で同時に問題が起きることもある中で、それらをまずは見守らなければならないとなると、見えないところでのケガや事故の可能性も上がる。また、子ども同士では話し合って解決したケンカであってもそこに親が出てくる場合もあると思う。
・国はもっと先生達の労働環境や賃金の改善に投資して、こういう素晴らしい教育をさらに取り入れていけるような仕組みをつくってほしい。このような環境で育った子どもたちが、将来の社会を作ってくれるのだから。