南国のリゾート地でフランス人の高等弁務官が「核実験が再開される」という噂を聞いてしまい...というお話
物語の導入は面白い。映像も美しく色彩豊かで、映画のコンセプトも面白い。が、如何せん映像は何の説明の役割を果たさず全て登場人物の会話だけで完結するような映画であり、しかも登場人物の 会話も殆ど意味の無い会話だったため...これで2時間半はかなり退屈に感じてしまった。
が、やっぱりコンセプトは面白い。リアリズムを重視した映像ながらも、南国の島という「楽園」のようなロケーションを際立たせたような色彩によってファンタジー、幻想のような雰囲気を醸し出す映像は良いし、物語もまた日常からかけ離れないものでありつつも「核実験」という不確かな陰謀によって不気味なものへと変貌していくのもまた面白い。リアリズムと陰謀を織り交ぜた物語はジャック・リヴェット的とも言えるか。
どことなく感じる世界の終末感が加速し始める終盤の映像はかなり良くて、日常からかけ離れたからこその舞台的な演出とダンスはかなり良いものであった。
ただ、映画としてはやはり退屈感が拭えない作りであったのが残念。これで2時間半は流石に長すぎる。
多分この映画は後になって思い返したらジワジワと評価が上がっていく感じの映画なんだろうな。この映画が持つ独特な空気感と色彩。リアリズムと幻想と陰謀が混ざり合った映像。
そこまで面白い映画ではなかったが個人的には好きな部類に入る映画だった。
