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バッドマン 史上最低のスーパーヒーローのRのネタバレレビュー・内容・結末

3.4

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2021年のフランス/ベルギーの作品。

監督は「シティハンター THE MOVIE 史上最香のミッション」で今作の主演でもあるフィリップ・ラショー。

あらすじ

役者としての夢を追い続けるセドリック(フィリップ・ラショー)はある日、大作ヒーロー映画「バッドマン」の主演に抜擢される。しかし、撮影初日が順当に終わろうとする中、セドリックが起こした事故と偶発的なトラブルによって、記憶喪失になってしまったことに加え、自分が好きな何者かもわからない状況下で、その場にあった映画用の撮影道具からフィリップは自分が本当のヒーローだと思い込んでしまう!

アマプラにて。

個人的に主演のフィリップ・ラショーの初監督作「世界の果てで〜」シリーズが彼と本作でも出てくる俳優陣とのグルーヴ感じがたまらなく好きだったので、今回アマプラでタイミング良く最新作を見つけて久々に観るかぁ…と鑑賞。

結論としてはわちゃわちゃ感は良かったけど、コメディとしては弱いなぁ…という感じ。

お話はあらすじの通り、ヒーロー映画の主演映画に抜擢された主人公が記憶喪失になってしまったことで本物のヒーローだと思い込んでしまうというドタバタコメディ。

主演はもちろん監督も務めるフィリップ・ラショー。今作も世界の果てで〜」の延長線上みたいなキャラクターではあるんだけど、ヒーロー映画の主演らしく肉体改造を施して、実際に胸筋をパンプアップしてたりと普通にヒーロー映画の主役に見えるからすごい。

で、そんなフィリップの悪友コンビはもちろんこの2人、タレク・ブダリとジュリアン・アルッティ(共に「シティー・コップ 余命30日!?のヒーロー」)。ただ、今作での立ち位置はやや変則的でタレク演じるアダムが今作ではいつもの禿頭からウィッグをつけて演じるジュリアン演じるセブのお母さん(ヴァレリア・カヴァッリ)と付け合っているという、なんかペタジーニみたいな関係性だったりする。

また、他にも「世界の果てで」シリーズで出てきた役者がチラホラ見られるんだけど、フィリップのお父さんで警察署長のマイケル(ジャン=ユーグ・アングラード「シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢」)の前でプレゼンしてるイケオジって、あれアーネスト役の人だよなw

そんな感じでいつメンで送る今作なんだけど、まだ未見だが実写版「シティーハンター」でそのクオリティの高さを評価された監督らしく、ヒーロー映画ネタが盛りだくさんなのが特徴的。

例えば、劇中のヒーロー「バッドマン」はその名の通りバットマンのパクリだし、劇中のヴィランも格好と俳優はジャック・ニコルソン、白塗りの感じはヒース・レジャーのジョーカーだし(衣装のカラーリングは意外とアリかも)、バッドマンの主演が決まりテンションアゲアゲのフィリップがMCUの「ガーディアンズ」でお馴染みの「あの曲」バックに「ジョーカー」オマージュの階段でノリノリでダンスするシーンがあったり、メガネ姿がとっても可愛らしいヒロイン、ローラ(アリス・デュフォア)の愛犬の名前が「グルート」だったり(ロケットじゃないんか)、そんなローラーとのキスシーンがサム・ライミ版「スパイダーマン」一作目の「あのキスシーン」オマージュだったり、出オチ的に「X-MEN」のウルヴァリンやプロフェッサー的なキャラが出てきたりとまぁ、出るわ出るわ。

で、特にそれが顕著なのが、予告やサムネでもあったいつメンが集結=アッセンブル!しての、悪役=ヴィランにあたる銀行強盗のスキゾー(アムール・ワケド「ジオストーム」)と対峙する撮影現場でのシーン。

バッドマンスーツに身を包んだフィリップがアダムから武器として渡される、ムジョルニアみたいなハンマーを持つ「ソー」、アダムはゴミバケツのご丁寧にカラーリングまで似せた蓋を持つ「キャプテン・アメリカ」、セブは赤い溶接用ヘルメットを被って、両手に溶接ジェットを持った「アイアンマン」、そしてフィリップの妹のエレオノール(エロディ・フォンタン「最高の花嫁 ファイナル」)は緑の粉末塗料を頭から被って前進緑色になった「ハルク」とまさに「アベンジャーズ」!!また芸が細かくて微妙にリズム感が異なる(でも、ちゃんとアガる!)「あのテーマ曲」のパクリの壮大な曲で出撃を演出、でも結果は散々とちゃんとコメディに落とし込んだ状態でアベンジャーズごっこをやってて、ここは非常に良かったなぁ!!

ただ、お話のギャグは一つ一つが弱くて、「世界の果てで〜」はPOVを生かした過激なギャグが面白かったけど、今作は監督演出のコメディが作品のトーンには似つかわしくないほど、意外に悪趣味な笑いに落とし込まれちゃっててあんまり笑えなかった。

特に動物と子ども関連は結構やってること酷くて、特に子役に次々に巻き起こるトラブルは他の映画なら全然死んでてもおかしくないレベルで有耶無耶になったまま終わるんじゃないかとヒヤヒヤしたわ。

あと、アダムとセブのお母さんのいちゃつきは、ちょっと見てて普通に気持ち悪かったなぁ。

つか、今回のアダムとセブ、お話にもあんまり絡んでこなくて「アベンジャーズ」オマージュシーン以外はちょっと扱いに困ってる感じはあったなぁ。まぁファン的にはいつメンを見せたい!的な感じではあるのかもしれんが。

と、そんな感じで「世界の果てで」シリーズほどは面白くなかったけど、ヒーローパロ映画としてはまぁ楽しめた作品ではあるので、コメディ映画好きなら観てみるのもありかも。
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