透明なテント

恋文の透明なテントのレビュー・感想・評価

恋文(1953年製作の映画)
4.0
すごい!ちょっと驚いてしまっている。
彼女が同時代の小津や成瀬を凌駕する傑作であり、凌駕する映画作家であることがこの一作で理解できる(言い過ぎ)。
かつてアメリカかぶれだと批判された自分自身の経験も脚本や演出に活かしているのだろうか、いやしかしその前にこの画面。
渋谷駅より出発する汽車に乗って映画の時間も変わっていく、そんな可愛らしい仕掛けも効果的。
まるで成瀬巳喜男の演出のような男女の動き、視線。
労働もしっかり撮れていて、ラストシーンに向かってあらわれてくる破滅はバーバラ・ローデンやケリー・ライカートに通ずるものがある。