うめ

ヴィレッジのうめのレビュー・感想・評価

ヴィレッジ(2023年製作の映画)
4.3
父が起こした忌まわしい事件

酒とギャンブルに浸かり切った母

増えていくばかりの借金

全ては絡みつき

ただただ沈んでいく

もう足掻く気力さえとっくにありやしない

そういう運命だと諦めていたのに

あの人は帰ってきた

そして

忘れようもない笑顔で

変わらない声で

僕の名前を呼ぶ

今の俺を見て欲しくなかったのに

心は小しずつざわついていく






さすがの藤井監督
エンタメでありつつも
容赦のない物語に手に汗を握りました

とにかく横浜流星が凄い
「流浪の月」も素晴らしかったが
こんなにも男前なのに表情で空気が恐ろしいほどに変わる
そんな目の演技に痺れました

黒木華も負けてはいない
傷つきやすい繊細さ
包み込む優しさ
あのふんわりとした笑顔は無敵です

一ノ瀬ワタルの傲慢さと脆さ

杉本哲太の違和感のない悪党面

中村獅童の珍しい常識人

西田尚美の豹変ぶり

古田新太の相変わらずのどす黒さ

木野花の圧倒的な凄味

錚々たる実力派に加え
閉鎖的な村社会
能という民俗芸能
裏で蠢く金と汚い仕事
と様々なテーマが詰め込まれてます

表面上は面でいくら綺麗に取り繕っても
裏の本当の顔は見るも無惨なもの
そんな日本という国が抱える闇
こんな悪夢はきっとどこかで続いている
うめ

うめ