同調圧力、格差社会、貧困など、本作は現代日本の闇を縮図化したような村で暮らす人々の葛藤が描かれている。
舞台となる霞門村の美しい景色や、能面を付けた大勢の村人達が松明を持って橋を渡るシーンなど、荘厳で幻想的な映像に思わず見惚れてしまう。
主人公 優を演じる横浜流星の演技が素晴らしく、辛く暗い過去を背負い鬱屈した日々に押し潰されそうな危うい青年を見事に演じていた。
古い伝統を持った村を存続させる為に奔走する人々。美しい村とは裏腹に彼らが創り上げた闇の世界は、その闇から産み落とされた運命によって淘汰されていく、そんな深淵なストーリーが重厚に描かれ見応えも十分。
ムラ社会と社会正義、本作は日本社会が抱える根本的な課題を鋭く問題提起しているようで考えさせられる。