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太陽を盗んだ男のNobのレビュー・感想・評価

太陽を盗んだ男(1979年製作の映画)
4.0
退屈な日常に辟易した理科教師(沢田研二)が、原子力発電所からプルトニウムを盗み出して原爆を作り、それを材料に政府を脅迫するという、一見荒唐無稽とも思えるような着想の物語である。だが、このいささか現実離れしたような物語を細部まできっちり描くことで、リアルで説得力のある映画に仕上げている。特にアパートの自室を製造工場にして、手作りで原爆を作り上げていくプロセスがかなり詳しく描かれているので、次第に形になっていく様子が手に取るように伝わってくる。さらに、多少専門的な知識がありプルトニウムさえ手に入れさえすれば、こうやって個人が原爆を作ることも案外可能かも知れないと思わせる恐ろしさも感じた。

45年も前の作品だが、今観ても画面から伝わるパワフルさに圧倒され、無目的な犯罪者やマスコミとの関係など、今の時代を予想していたようにも感じる。これくらい破天荒で体制への反感と若者の孤独感を描いた映画は中々ないだろう。
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