YP子

ベルベット・ゴールドマインのYP子のレビュー・感想・評価

4.6
1998年制作のイギリスの映画。

70年代前半のグラムロックシーンへのオマージュ作品。
グラムロックの頂点といえば、デヴィッド・ボウイ。
映画のタイトルもボウイの曲からつけられている。

伝説の同性愛者詩人オスカー・ワイルドからの、伝説のグラムロックシーンへの回想。
そして80年代から伝説の時代を思い起こし回帰する。
なんかその構成がすてき。

ただ、この映画の主人公ブライアン・スレイドはボウイに限りなく似てるがボウイではない。
冒頭で「フィクション」と念を押しつつも、全面にボウイが散りばめられているけどね。
どっからどうみても、ボウイとイギーポップの映画だわ。
トッド・ヘインズ監督のボウイへの強い想いを感じます。

だけどこの映画への協力を一切拒否したボウイ。楽曲提供も拒否。
彼は彼なりのこのグラムロック時代の自分への想いがあったんだろうね。



なんとも中世的な世界観。
浮世離れとロックスターの現実が交互に訪れ、終始現実から引き離される映画だった。
大好きなユアン・マクレガーが裸でラメ振りまきながら炎の中で歌ってた。
ブライン役のジョナサン・リース=マイヤーズは顔が美しくて美しくて見惚れた。
これまた大好きなクリスチャン・ベールが、まさかの役だった。
ジャック・フェアリー役のミッコ・ウェストモアランドなんてもうこの世のものではなかった。
美しすぎる!!

ロックスターの人生、同性愛、不可思議な出来事、時代のアイコンにほんろうされた人達の人生...
なんかこの時代を一緒に生きてた?私。ってちょっと錯覚すらしてしまうほど世界観がすごくて引きこまれてしまった。


70年代のロンドン。
ヒッピーからの新しい時代。
脱ぎ捨てられたエスニック。
広まったグリッターファッション。
グラムロック。
サテン。
ラメ。
グラマーなロック。
リトル・リチャード。
モッズ。
ロッカーズ。
ビートルズやCCR。
ロックショーでフロックを着る。
散りばめられるゴールドラメ。
同性愛。
女装。


もう画面に映し出されるすべてのものが素敵でゴージャスで、まさに70年代前半の世界。
美しい。美しい。美しい。
それを観るだけでも観る価値ありだと思う。
衣装もメイクも小物も全て素敵でファッショナブルで、もはや芸術作品。
あれだけの世界観を演出するってすごいことだと思う。
映像も鮮明すぎずいい味が出ててよかったし、ところどころラメやグリッターアイテムのキラキラがぼやけて映り込んだりしてて素敵だった。


グラムロック好きにはたまらない1本であることは間違いないよね。
特に当時を生きててリアルタイムでこの伝説の時代を観てた人はきっとすごい想いで観るんだろうね。複雑さとこみ上げるものが同時にありそう。

私にとってこの映画は物語どうこうっていうよりも、目で観て何かを感じる映画でした。
いやぁテンションあがる。こういう映画。
全部のシーンを切り取って本にしたいくらい。


「最後にはいつもスタイルが勝つ」


そういうことだ。





※全然関係ないけど、ストレイト・アウタ・コンプトンに続きまたマネージャーが「ジェリー」だった。「おい!またかよ!ジェリー!」って思った(笑)
YP子

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