Jeffrey

タイタニック 3DのJeffreyのレビュー・感想・評価

タイタニック 3D(2012年製作の映画)
5.0
「タイタニック」(3D)

〜最初に一言、私個人3時間14分があっという間に感じた唯一の作品であり、圧倒される迫力、充分すぎるほど納得させられるリアルな映像、運命の航海と悲運の愛を描くエモーショナルなラブストーリーの傑作中の傑作。新たな人類の未来を約束する日に思える新世紀に入る前の一大"愛"のスペクタクル超大作である〜

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https://youtu.be/U75cZM3G48I

冒頭、1912年4月10日、当時史上最大の客船であったタイタニック号は、誇りと喜びに満ちて運命の処女航海へと旅立った。氷山にぶつかり沈没、上流階級と貧しい青年、出会い、宝石、格差、スケッチ、甲板、愛。今、刻一刻と進む沈没の極限状態に直面した人々のパニック、愛と別れ、サバイバルへの強烈な意志が、涙と感動のヒューマンドラマを展開する…本作はジェームズ・キャメロンが、監督、製作、脚本、編集を務めたレオナルド・デカプリオとケイト・ウィンスレット主演のスペクタクル海洋ロマンスで、この度3D BDにて久々に鑑賞したがやっぱり好きな映画だ。第70回アカデミー賞では11部門を総なめしており、世界的な興行収入もあった名作である。また主題歌のセリーヌ・ディオンが歌うマイ・ハート・ウィル・ゴー・オンは誰しも1度は耳にしたことがあるほど有名な曲になっただろう。1912年に実際に起きた英国客船タイタニック号沈没事故を基に、貧しい青年と上流階級の娘の悲恋を描き、SF映画に定評があったキャメロンが今までとは違ったジャンルに挑戦した映画でもある。この作品は既に2019年に上映権を失っているため、日本で巨大なスクリーンで見る事はもう不可能なのかもしれない…。

ディカプリオは本作に出演する前に「ロミオ&ジュリエット」でベルリン国際映画祭主演男優賞を受賞し、トップスターの座を不動にしたばかりであった。一方で、相手役のケイト・ウィンスレットは、「いつか晴れた日に」でアカデミー賞助演女優賞候補にもなっていた。そしてご存知オスカー女優のキャシー・ベイツも「ミザリー」で受賞している。確かこの映画は、東京国際映画祭で世界で最初に上映されたが、この決定に疑問を持った人やハリウッドの中では批判的な人もいたそうだが、日本はアメリカ映画の第二のマーケットで、作品は常に好評でヒットしていたから非常に良かったと言っている。結局後の「アバター」に抜かれるまで日本国内の興行収入トップ1位だったし。今はもう全然違くなってしまったが…。日米同時公開だったような気がする(一般上映は)。前振りはこの辺にして物語を説明していきたいと思う。


さて、物語は1912年4月10日、当時史上最大の客船であったタイタニック号は、誇りと喜びに満ちて運命の処女航海へと旅立った。夢の豪華客船とまで呼ばれたタイタニック号であったが、14日の夜、北大西洋上で氷山に衝突。1500名を超える犠牲者を出した。現代。3773メートルの海底深く眠るタイタニック号の姿から映画は幕を開ける。タイタニック号の引き上げ作業の指揮を取る野心家のラベットは、かつての豪華客船タイタニックの秘宝を求めて調査に乗り出した。そこで浮かび上がってきたのは、未だかつて語られたことのなかった物語であった…。今、光輝く宮殿のようなタイタニック号はイギリスのサウサンプトン港から処女航海に出ようとしている。アメリカへの旅に寄せる幾千もの希望、そして情熱に燃えた2つの若い心をのせて。それはこの先、彼らの人生を永遠に変えてしまうことになる。

17歳のローズは上流階級のアメリカ人。厳格で決まり事の多いエドワード王朝の社交界に息を詰まらせていたが、三等舟室客の自由奔放な青年ジャックと出会い、恋に落ちる。彼はローズに上流社会と言う鳥籠の外に広がる世界を教えた。ローズとジャックの禁じられた恋の行方とパワフルなミステリーが繰り広げられるのか、再び時は現代へ。どんなものも彼らの間を裂くことができないのだ。あの想像絶するタイタニック号の沈没事故さえも…。まさに海に漂う小宇宙と化したこの船には2000人ほどのあらゆる階級の乗客がいた。乗り合わせていたのは、大資産家でローズの婚約者であるキャル、ローズの結婚を強引に決めた母親ルース、コロラドの富豪夫人ブラウン、タイタニック号の船長スミス、タイタニック号を建造したホワイトスターライン社の社長ブルース・イスメイ、設計者トーマス。

そして、貧しいけれど共にアメリカを目指したジャックの親友でイタリア移民のファブリツィオ、キャルの忠実な召使いラブジョイ。彼らもまたタイタニック号の運命に翻弄された乗客であった。ジャック、ローズ、そして彼らの運命はいかに…と簡単に説明するとこんな感じで、夢の超豪華船に花咲いた2人の恋と身分違いと禁じられた行く末を描いたキャメロン映画史上の傑作の1本だ。当時では史上最高の制作費240億円、映画史を変える愛と感動の3時間と言う謳い文句で世界中で大ヒットした。ご存知の通り、「エイリアン2」「ターミネーター2」「トゥルーライズ」とヒット作を放ったジェームズ・キャメロンが、ライフワークとして制作、脚本、監督を手がけた世紀の話題作である。この事件は、北大西洋上で氷河に衝突し、15日の午前2時20分過ぎに沈没した遭難事故であり、20世紀最大のパニック悲劇と言われていたそうだ。

乗客、乗員合わせて2223名、そのうち1517名が死亡すると言う大惨事の実態を、監督は5年間を費やしてリサーチしたそうだ。現在も3773メートルの海底に眠る船体を撮影したフィルムを始め、最新の視覚効果でタイタニック号の最後の数時間を再現したシーンは圧巻であった。メキシコのバハに新しく作られたスタジオにはタイタニック号がほぼ原付大で完璧に再現されており、全長236メートルの人類史上最大規模の豪華客船が蘇り、目を見張るゴージャスな数々のショットは記憶に残る。タイタニック号はエドワード朝時代の粋を集めたもので、伝説的な一等船室、ダイニング、レセプションルーム、豪華なインテリア、乗客には上流社会の紳士とレディ、資産家、貴族などVIPが多かったため、この映画のために衣装、装飾品なども世界各地から数千、集められたそうだ。クリスタル・グラスなど小道具まで全て正確に再現されているの映画を見れば一目瞭然だ。

本作のタイタニック号は、6435万リットルの水をたたえた6エーカー以上の広さを誇る世界最大の撮影用タンクに浮かべられて撮影されている。タンクはこの映画のために建造され、衝撃的な沈没シーンがケタ外れのスケールで展開されるのだ。プロダクション・デザイナーは「エイリアン2」などでアカデミー美術賞に3度ノミネートされたピーター・ラモントで、撮影のラッセル・カーペンターとともに「トゥルーライズ」に続いてキャメロンと組んでいるのも嬉しいことだ。そしてこの映画の注目すべき点の1つにSFXがある。特撮工房デジタル・ドメイン社の特撮効果コーディネーター、トーマス・L・フィッシャーを中心に、視覚効果スーパーバイザーにロブ・レガートが関わっている。彼らの力量によってこの驚異的な深海撮影が作り出されている。確か当時ブロードウェイではミュージカルにもなったんじゃないかな、タイタニックを社会現象になっていたから。



いゃ〜、久々に見返したけどやっぱり傑作だわ。んもぉ、ディカプリオが超絶ハンサムでヤバい水も滴るいい男…羨ましだわ。今でこそ40歳を超える大人になったディカプリオがスクリーンに現れても目を奪われる事はあまりないが、この90年代から2000年代初期の彼がいちどスクリーンに出たら彼がどんな風貌であろうとも彼が出演している映画の虜(ファン)になってしまうのだ。彼は演技力と華、カリスマ性に満ちた役者である。自分の目がいつの間にか彼に吸い寄せられていくそういった経験は私だけでは無いはずだ(男女問わずに)。余談だが、誰もが多分知っていると思うが、彼はロサンゼルス生まれで、父はイタリア系アメリカ人、母はドイツ人で、妊娠中だった母がイタリア旅行中に美術館のレオナルドダビンチの絵を見ている時にお腹にいた彼が動いたのがきっかけで、ダヴィンチにちなみレオナルドと名付けられたエピソードもある。豆知識に…。

今思えばケイト・ウィンスレットは英国出身の女優であり、ハリウッド大作に出演するのは本作が初めてだったのではないだろうか。東京国際映画祭で本作が上映された際に、ディカプリオは来日してマスコミはこぞって報道して大騒動になっていたが、彼女の姿がなかったのが残念だった。彼女は現代的な強さを本作で体現していた。そうそう、この映画の面白みの1つが、やはりウィンスレットが演じたローズの破天荒ぶりだろう。かつては名門のお嬢さんだった彼女が、財産がなくなってしまい仕方なく金持ちの男性との結婚を教えられていて、うんざりしていて内心疲れ切っている彼女がディカプリオ扮する貧乏画家と恋に落ちていき、全てが収まると思いきや、物事をはっきりと言い、この品のある女性が決してそういうわけでもないと言うことがドラマの進行とともにわかってくる点は非常に面白い。しかもディカプリオとは同年代らしいが、どう見たって彼よりも大人びている。女性は化粧すればそれなりに大人っぽく見えるが、基本的にキャメロンは、タフな女性を出演させるのが好きなようだ。「ターミネーター」のリンダ・ハミルトン、「エイリアン2」のシガニー・ウィーバーどれをとってもみんな強い女性だった。



俺この映画大好きなんだよねこう見えて。ガキの頃二本立てのVHSで結構繰り返し見ていた。地上波では今までに4回(ゴールデンタイムのみ)しか放映されてないんだよね意外に。これ4Kで発売してほしいな。劇中でディカプリオが書いてる絵は全てキャメロンが書いているらしい。ディガプリオは水に濡れるのをすごい嫌う人らしくて、何度も水につかるのが大変だったそうだ。船の甲板で、初めてディカプリオ演じるジャックがウィンスレット演じるローズを見つめるシーン、星空を眺めながらタバコを吸っている時に、血相変えて走ってくる彼女との出会い、そして有名な船の先端でのあのロマンチックなポージング、飛び降りようとしている彼女を説得する為の試行錯誤、うっすらと静かに流れるセリーヌ・ディオンの音楽、2人の会話…いいね。たまらないよ。今となっては2人ともオスカー俳優だしな、再度共演もしてるし。

ローズがジャックにお礼を言いにきて、口喧嘩やその後に気まずそうにジャックの絵を見て褒めたり、唾を船から飛ばしたり、キャシー・ベイツ演じるブラウン夫人にタキシードを授けてもらってディナーに行ったり、その時のディカプリオのオールバックまじでかっこいい。てか、ベイツ演じるブラウン夫人が強烈なインパクトを残しててすごく好きだ。なんだろうひたすら安心感がある。握手の練習をしているのを階段上から微笑んで見ているローズのショット、それに気づくディカプリオのクローズアップ、そして手の甲にキスをする時の寄りの描写、ローズが金持ちの人たちをジャックに説明する場面、ディナーの食事のマナーをブラウンに教えてもらったり、嫌がらせをするのに対して頑張って対抗したり、助け舟をよこすローズだったり、憎むような眼差しで見るローズの母親、ローズのフィアンセの男の嫌味、そんで奴隷たちがいる地下での踊りの騒ぎに招待されるローズ、そこでつま先立ちをして披露するパフォーマンス、圧倒的なケルト音楽的な民謡で奏でられるシーンは最高である。

ケイトウィンスレットって目の色めちゃくちゃ綺麗だよなエメラルドグリーンで、しかも健康的な肉体の持ち主で凄くいいわ。そしてローズの周りの大人たちがジャックと合わせないように手配するんだけど、船の船首で夕日に照らされながら手を広げてディオンの音楽と共に大海原が黄昏に染まるシーンはマジで最高。ほんとに美しい。そして部屋でジャックがローズをモデルに絵を書くシーン、そこのエロス、イヤラしくないポージング、懸命に絵を描いているディカプリオの手先、目元のショット、ここでもまたディオンのアコーディオン、この世の美が詰まったようなー場面である本当に目頭が熱くなる。船の荷物置き場にある車の中で愛し合うシーン、そしていよいよ氷山に船がぶつかり、沈む時を刻む。ローズがジャックを助けるために斧を見つけて手錠の鎖を壊す迄の流れ、そこから拳銃で狙われる描写、いよいよ船が真っ二つに崩壊して沈没する…。自由の女神を見つめながらローズ・ドーソンと言う所はマジで号泣したわ。

ところでこの映画を改めて見ると、この「タイタニック」の惨事は女性解放や労働運動、移民、階層社会と民主主義等の転換点に当たる直に起こったために驚くほどたくさんの意味を持っている映画だなと思うのである。劇中を見れば差別を受ける貧困層と優先順位が高くなる上流階級の人間で分けられる。無論、この映画にはアフリカ系は1人も出てこない(イタリア移民は出てくる)。まさに時代を感じるのだ。そもそも日本とアメリカではこのタイタニックに関しての感想や見方が違うのではないかと言うのもあると思う。アメリカ社会の中でタイタニックの惨事がどのような意味を持っているのか、私にはよくわからないが、十分にアメリカでのタイタニックに対する関心の高さは当時あったのではないだろうか。実際に、妻の命を救って犠牲になった大富豪の葬儀には、数多くの女性が参列し、葬儀は自由を求める女性たちの団結の象徴になったニュースもある。宗教界の指導者たちは逆に、フェミニズムの台頭、離婚の急増、家庭の崩壊の時代に、夫と運命を共にした女性たちを失われつつある美徳を表したとして賞賛したと大場氏も言っている。

この映画を見るとヒロイズムが表現されているなと思うのだが、救命ボートに乗せるのは女と子供限定、さらには下流階級の人間は閉じ込められる始末である。そういった光景の中で、民主主義の象徴とも捉えられた人々も少なくなかったが、一方で乗客の生存率には階層の違いが反映されていたことがわかる。タイタニックの物語で、男たちが必死にボートにかよわき女性、子供たちを入れているシーンで、自分が助かりたいと言う男もいてそっとボートに乗りこんだり、噂によると女装して入ったり、みなしごと嘘をついて乗り込む乗り込む輩もいたそうだ。階層がそれぞれに異なっている人々が同時にタイタニックと共に沈没するシーンはまさにデモクラシーだ。しかしながら、労働者はそういった金持ち連中とは違って生きるか死ぬかを体験する崖っぷちに立っているため、労働者の団結がなされ、それが象徴的に映画に入り込んでいた。氷山は労働者たちの感情の結晶と言う論評もある。

タイタニックのバンドメンバーが甲板で音楽を奏でる中、真っ先にボートに乗せられるのは女性と子供のシーンで、特に三等客の男性の乗客たちは、デッキ下の客室に閉じ込められたと言うのが定説になっているが、映画を見てもわかるように、一等、二等との差別は厳然と存在しており、三等客には立ち入り禁止区域があって鍵のかかるゲートで分けられていた。沈没ともにゲートはすべて開かれるべきだったが、わずか数カ所しか開かなかったそうだ。封鎖されたゲートを破って救命ボートに殺到した者には、制圧のため銃が使われた為にその結果、ー等客の38%に対して三等客は75%が死亡したそうだ。50名の子供がなくなった中、一等客の子供1人、残り全員が三等客だったそうだ。それらを監督は階級差別への抗議も込めて映画を作ったに違いないと信じたい。映画を見る限り結構如実に描かれているからだ。

タイタニック号の発見と言うのは1985年、アメリカのウッズ・ホール海洋学研究所のロバート・バラード博士がフランス海洋委員会と共同で調査団を結成して、深さ1万2612フィートの海底でタイタニック号の正確な沈没位置を突き止め、潜水艇で沈没から73年経ったタイタニック号の撮影に成功したのだ。この時、船体が船首部と船尾部の2つに折れていて、離れたところに沈んでいたことが確認された。91年夏にはロシアの海洋調査船ケルディッシュに探検家、カメラマンが乗り込み、深海捜索を17回にわたって行った。潜水艇ミール1号とミール2号は現実に存在し、この探検記録は92年9月にNHKでも放映されていた。

タイタニックには、ただ1人の日本人乗客がいた。第一回鉄道員在外研究員として外国の鉄道施設の視察を終え、ニューヨークへ向かうタイタニック号に乗り合わせた細野正文である。彼はタイタニック号唯一の日本人乗客で、船の異変に気付き二等船室から甲板に出てあと2人乗れると人の声に救命ボートに乗り込み、一命をとりとめた。彼はカルパチア号に救助されてから、所持していたタイタニック号の備え付けの便箋1枚に、沈没が始まった14日から救助後の18日までの出来事を日記風に書き留めていた。彼の孫でミュージシャンの細野晴臣氏はこのようなメッセージを当時寄せてくれたらしい。自分の人生が歴史的事件に深く関わっているのが、我ながら不思議に思います。祖父は生還した後、私の父を設けました。故に祖父が孫である私の存在を知る由もないのです。祖父が生還していなければ今の自分もいない。このような因縁を私は宿命と感じ受け止めています…との事である。

怖いことにこの映画は、1898年にモーガン・ロバートソンが書いた小説があり、豪華船が処女航海で氷山に衝突して沈没すると言うタイタニック遭難を予言したような話が作られたり、事故現場も北大西洋上で、乗客数、速力も似ていたそうだ。そして偶然にも船の名前はタイタンだった。タイタニック号に乗船して死亡した、ジャーナリストで作家のウィリアムス・T・ステッドも、1892年に豪華船の沈没をテーマにした小説を書いていたそうだ。
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