ふぇいるくん

ザ・バンク 堕ちた巨像のふぇいるくんのレビュー・感想・評価

ザ・バンク 堕ちた巨像(2009年製作の映画)
4.0
個人が巨悪に立ち向かう骨太アクション・・・というようなジャンル映画は死滅しました。
具体的には洋画なら『フレンチ・コネクション』の特に2作目や『ガルシアの首』、邦画なら完成度の是非もありますが『君よ憤怒の河を渡れ』や『野生の証明』(なぜかどちらも高倉健主演!)といったような社会派を匂わせつつの男臭い映画は、もうシネコンでかかることなど殆どないでしょう。

そう言った意味ではこの『ザ・バンク 堕ちた巨像』(もう少し邦題何とかならんのか)は、まさに一匹狼が巨悪に立ち向かう典型的な男泣き映画の偉大なる復活。
世界を金と軍事の両面から操る「人でなしセレブ軍団」に、やさぐれインターポールが一人で立ち向かうという、70年代臭プンプンたる快作となっております。

当然ながら婦女子のみなさまは立ち入り禁止の番外地、物語中盤の大銃撃戦は善悪の彼岸を越えたカタルシスの嵐で、アメコミやアニメの洪水にウンザリした映画野郎どもの溜飲を大いに下げる事でしょう。

とはいえ、所詮力に力で対抗するには限界がある・・という冷徹な現実を突き付けてくるあたりは、凡百の能天気な筋肉アクションとは相当な温度差。
この辺りの苦みも、70年代タッチでとても美味しく頂けます。
お子様にはわからない、大人の味と言うやつですね!