EDDIE

ウエスト・サイド物語のEDDIEのレビュー・感想・評価

ウエスト・サイド物語(1961年製作の映画)
4.0
人はなぜ分かり合えないのか。なぜ対立するのか。憎しみの連鎖は悲しみしかもたらさない。名作は50年以上の時を経ても名作でした。

シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』を題材に作られた誰もが知る名作。実は初鑑賞だったんですが、正直映画館で流れる予告の映像からもっとハッピーなミュージカル映画だと思っていました。
こんなにメッセージ性が強く、深い作品だったとは…。

U-NEXTなど動画配信サイトでも視聴可能なんですが、午前十時の映画祭にてやはり劇場鑑賞できるならば名作は劇場で観たいと思い映画館で観てきました!

ポーランド系アメリカ人で構成されるジェット団とプエルトリコ系アメリカ人で構成されるシャーク団の縄張り争い。
楽しげなミュージカルのシーンから始まる導入部分はワクワクさせてくれますが、物語のテーマはそんなに生易しものではありませんでした。
異なる人種はなぜ対立するのか。共存はできないのか。
出会うたびにぶつかり合う彼らを見て、どうにかならんもんかとお節介を焼きたくなる気持ちに駆られてしまいます。
時代背景もあると思います。現代では本作公開当時ほど人種差別は色濃くないと思いますが、それでも少なからず差別というのは起こっているとも考えられます。つまりは人は同じ過ちを時代が変わっても繰り返し続けているのです。
しかも本作において黒人は一切出てきません(たぶん私の観た限りでは)。そういう意味でアメリカ人は当時白人社会であり、そこに移民として幅をきかせてきたプエルトリコなど南米系の人種と対立をしてしまっていたのでしょう。

本作の中心人物は、ジェット団のリーダー格リフ(ラス・タンブリン)と元メンバーでリフの兄貴分トニー(リチャード・ベイマー)、シャーク団のリーダーであるベルナルド(ジョージ・チャキリス)とトニーと恋に落ちるベルナルドの妹マリア(ナタリー・ウッド)、ベルナルドの恋人アニタ(リタ・モレノ)らです。
ダンスパーティーで出会ったトニーとマリアは禁断の恋に落ちてしまいます。同じ人間である以上、彼らが恋をするのは自由なはずですが、時代が許してくれなかったのでしょう。
そこから大きな事件に発展していくわけですが、なぜ彼らは対立をするのか、もっと分かり合えることはできなかったのかと心を抉られてしまいます。

ベルナルドの恋人アニタの存在もかなり大きかったですね。マリアのお姉さん的立場で、ベルナルドの立場もあるけど、女性としてマリアの恋する気持ちもわかる、そんな彼女の想いが強く伝わる素晴らしい演技でした。

それにしてもトニーが働くドクの店。途中からドラッグストアとわかるのですが、不良たちの吹き溜まりになっていて、正直途中まで酒場だと勘違いしてました(笑)

アカデミー賞11部門にノミネートされ、うち10部門受賞した傑作。時代が変わっても、とても胸を打つ素晴らしい作品でした。

作品の中で「キャプテンマーベル」について触れるシーンもあるので、是非MCUファンの方もご覧ください(笑)

そういえば2020年12月日本公開予定で、アンセル・エルゴートがトニー役として本作リメイクが作られるようですね。しかもスティーブン・スピルバーグ監督/製作。これは是非とも劇場に観に行きたい。当時のままか、それとも現代用にアップデートされていくのか。かなり楽しみ。
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