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The Devil's Miner(原題)
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『The Devil's Miner(原題)』に投稿された感想・評価

3.5
【ポトシ近郊の銀山について】
ボリビアの歴史は鉱山と共に歩んだといっても過言ではない。世界遺産にもなっているポトシ銀山は、かつて石見銀山と並ぶ銀の産地であり、世界経済を回していた。ポトシ銀山では水銀アマルガム法を用いて銀を抽出していた。そこで働く労働者は水銀中毒になったり、粉じんの吸引してしまい多くの者が命を落とした。また、鉱山労働者は奴隷のように働かされた。つまりボリビアの資源による発展の歴史は血と涙でできているのである。

『The Devil's Miner』は、現代におけるポトシ銀山での過酷な労働を追ったドキュメンタリーとなっています。本作は子どもの鉱山労働者の目線から恐ろしい実態が物語られる。2交代制24時間稼働で採掘が行われる。2025年に開催されたウカマウ集団の特集で上映された『落盤』においてダイナマイトを用いた危険な採掘の様子が映し出されていたが40年以上経っても基本的な採掘は変わらない様に背筋が凍る。追い打ちをかけるように、カラーで鮮明となった画の中で、少年がプラスチックに火薬を詰めてダイナマイトを作る様子が提示されるのです。

死と隣り合わせの環境なため、ポトシでは鉱山の内外に十字架や壁画があり、悪魔祓いをしています。鉱夫によれば「俺らはサタンの世界に入るんだ」とのこと。神へ祈りを捧げながらも不安と諦観は心を蝕む。心に広がる闇を払うかのように10代の少年も、おじさんに混ざってコカの葉を嚙んでいる。映画は虚空を見つめながらインタビューに答える少年の姿をクローズアップで捉え、次のショットでは思い部材を背負いながら鉱山内へと向かう姿を展開する。

これらの姿を観ると、佐渡金山で目撃したカラクリ人形の儀式が普遍的なものであることがわかる。佐渡金山では江戸時代の鉱山文化をカラクリ人形で伝えている。その中で、「金銀山大盛」と書かれた木版を前に儀式を行う様を再現した場所がある。本ドキュメンタリーは鉱山文化の点と点を結ぶものがあります。

先述の通りボリビアの歴史は鉱山と密接に関係があり、映画もしばしば鉱山文化と向き合った作品が作られている。近年では、2021年にヴェネツィア国際映画祭へ出品された『大いなる運動』が記憶に新しい。フィルムの粗さが茹だるように暑いボリビアの街を捉えていく。街の中心では、鉱山労働者がデモを行なっている。この地に若者エルダーがやってくる。鉱夫として復職するため、都市にやってきた。しかし、彼は都会の熱気に打ちのめされて気分が悪そうだ。なんとか市場で木箱を運ぶ仕事を斡旋してもらうが、あまり体調が良くないように見える。酒が彼の痛みを和らげている。そんな中、山から浮浪者のような男マックスが降りてくる。市場の人は、「お前のことはもう信用できない」とあしらう。彼の正体は呪術師であり、エルダーの病を治そうとするといった内容であり、マジックリアリズム的演出を通じてボリビアの鉱山労働者像を捉えようとしているのです。これも併せて観ることで、より一層ポトシないしボリビアのことがわかることでしょう。

ちなみに、ポトシの市街は銀山管理が不十分として2014年以降危機遺産として管理されています。