今日の試写会は『1640日の家族』。
赤ちゃんの頃から預かって、我が子同然に育ててきたのに、まだ5歳の男の子を突然実父が返せって、この里親制度ってどういう約束でやってたんだろう?
それに実父と里親の仲介をするコーディネーターの、子供の気持ちを全く考えないビジネスライクな発言にはイライラし通しだった。
だったら、実父と里親を直接合わせないで、毎週末の子供の受け渡しも仲介者がやればいいのに。どれだけ子供が嫌がってるのか、よくわかるのに。
それに、生まれてから育ててもらってきた5歳の子供に、急に「ママと呼ばせないように」とか無理に決まってるし、
「日曜に宿題をさせるのは時間がもったいないからあんたがやってくれ」とか、は〜? 何言ってんの⁉︎ って感じで、「週末に遊んでやるだけじゃ親にはなれませんよ」って、代わりに言ってやりたかった。
本作は、監督のファビアン・ゴルジュアールの実体験に基づく作品。
それだけに、我が子同然に育てた子を突然手放さなければならなくなった里親の気持ち、兄弟同然で育った弟と離れ離れになる兄たちの気持ち、里親を愛して自分に懐かないことに苛立つ実父の気持ちなど、
それぞれの愛がぶつかりあい、すれ違う切なさに心が震えた。
5歳児シモンを演じたガブリエル・パヴィくんは、これが初演技ということだが、かわいいし、上手いし、この子の存在でこの映画はドキュメンタリーか(?)と思うくらいのリアリティを与えられた。
もちろん、胸が張り裂けそうな母の思いを演じきった主演のメラニー・ティエリーの演技には誰もが泣かされるだろう。
ラストシーン、シモンはこれで幸せになってくれるのかな? あの男が再婚したら、新しいママはシモンに優しくしてくれるのかな? 新しいママに子供ができたらシモンはどうなるのだろう? ずっと先まで考えて、心配性の私はまた切なくなって劇場を出た。