フクイヒロシ

夜明けまでバス停でのフクイヒロシのレビュー・感想・評価

夜明けまでバス停で(2022年製作の映画)
4.0
シスターフッド映画。

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2020年11月に実際に起きた殺人事件を元にした映画。

コロナで職を失った女性が住む場所もなくして路上生活をしていて、
笹塚のバス停で寝ていたところを石を詰めたペットボトルで殴られて死亡したという事件。

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淡々とした暗い静かな映画かな(寝ちゃうかも…)と思っていたけど
主人公以外の人物描写も厚いし
話がサクサク進んでいく明るくて強い映画でした。

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主役の板谷由夏はスター性と親しみやすさと演技力で観客の心を引きつけたままラストまで爆進してました。

各キャラが面白いのですが、
1番は店長の女性!

大西礼芳(おおにしあやか)さん。凄いですね、この人。ほんとに店長かと思った。

「何て呼ばれたい?」
「ちーちゃんで」
でもう泣きそうになったしみんな店長を好きになったでしょう。

店長はコロナ禍に入っても安全地帯にいれた人。
失職もしないし、マネージャーをうまく転がせば出世もできそうな人。

だけど彼女はその安全地帯からはみ出して、行動に出るわけよね。
勇気もいるし、かなりめんどくさい行動をやってくれた。

彼女をそうさせたのはそもそも板谷由夏による融和があったから。

この連帯が、この映画では希望や願いとして描かれていますね。

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この映画はものすごい怒りが爆発してまして、、
その矛先もめちゃくちゃハッキリと明示されます。。
めちゃくちゃ映ります。。

「観る人に自由に感じ取ってください」ではなく、、
アイツらだよね!と投げかけてきます。
(僕もアイツらだ思っています!)

↑コレをやりたい映画なわけだから、、映画人は自由に映画撮って公開すればいいと思いますよ。

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ただ、、僕の好みとはちょっと違う。。

劇伴も凄く説明的で、感動パートですサスペンスパートですってのが凄く直接的に表現された音楽でした。。

やりたいことやりゃ良いと思うし、
僕の怒りの矛先も同じではありますよ。

でも、、、、ちょっと引きました。。。

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撮影から公開までに実際にまたとんでもない殺人事件が起きてしまったこともあって、、、
ほんとにね、、、底が何回破れれば気が澄むんだという地獄ですね。。