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遠いところのbuddyのレビュー・感想・評価

遠いところ(2022年製作の映画)
3.7
《沖縄の現実と映画的幻想が交錯する力作!しかしそれなりの覚悟を要する作品》

沖縄のゆったりとした時間の流れや海の色、風の音などをうまくカメラで捉えていて、その空気感を壊さないキャスト陣の自然な演技も素晴らしかった。

劇中で少女たちが逃げるシーンを引きで撮ったかと思えば、個人的には主人公アオイと息子を後ろからカメラでとらえて、ずっと部屋のカーテンが優しく風でなびいている画が儚げだけど美しくて良かった。

しかし、ストーリーは救いが1ミリたりともなく、答えや解決策も提示しない作りに観客の覚悟がある程度必要な作品かもしれない。

沖縄の社会を浮き彫りにしたリアルさと、ヨーロッパ映画を観ているかのような異国な映画的境地が交錯するため、かなり気持ちが掻き乱される。
しかしそこが狙いなのかもしれないと、観終わって時間が経つにつれて思った。

遠いところの話のようでありながら身近な問題であり、どの距離感で本作を咀嚼するかは観客に託されている。
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