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窓辺にてのYKのレビュー・感想・評価

窓辺にて(2022年製作の映画)
3.5
これまで、若者とか何でもない人々の日常を描いてきた今泉監督。しかし本作では、大人の、なかでも有名人や割と成功している人たちの物語をとりあげた。彼らも完璧な人間ではない。これまでの今泉キャラと同じように、だらしなかったり、変だったり、どうしようもなかったりする。ただ、稲垣吾郎演じる主人公の茂巳、彼はなかなか掴みどころがない男だ。それがこの映画の面白さでもある。

「感情がない」と自己紹介するぐらい感情の起伏が少なめな自分にとっては、茂巳の言っていることはけっこう理解できた。好きとか嫌いとかが無いわけではないけど、周りの人からは興味心が無さそうな人に見える。盛り下がる。ただ、ほんとに感情がないわけではなく、その中には、嬉しさとか喜びとともに、恨み、妬み、怒りといった様々な感情が渦巻いているだろう。そんなことは自分もよくわかっている。だから、茂巳は4,50歳にもなってなにをモジモジしてるんだろうと、思わなくもなかった。でも、この作品はそういう話なんだから仕方ない。

観終わってまず思ったのは「もっと尺削れ!」。とにかく長かった。笑わせるシーン=今泉作品でよくある気まずシーンがちょくちょくあるから持つだろうという意見もあるが、自分にはもう、その気まずシーンがあんまり笑えない。会話に関しても。監督がTwitterで笑いの演出テクを書いていたけど、そういう制作サイドのことしか見えなくなった。心がきれいな人(この言い方もおかしいけど)にしかウケないのではとすら思う。撮影は素晴らしい。
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