本公開前なのでネタバレなし
『霊的ボリシェヴィキ』から続いて人の声、あるいは演じたり語ったり、通常とは異なるモードで存在する状況の中で高まっていく霊的なモードそれ自体で勝負している。
冒頭から木々のざわめきや鳥の鳴き声といった爽やかなはずの音たちが、どれも不穏でおそろしいものに感じる。
この世に時々あらわれる地獄の裂け目、それ自体が映ってしまっているような映像は時々ある。
『呪怨 呪いの家』に続き実在するニュース映像を題材に、そんな地獄に接続してしまったような、この世界のすぐ裏側にはそんなおそろしいものが存在しているのだという、そういうことを表現する、ホラー映画の極北であり続けるホラーマスター・高橋洋監督は、かつて極北だった自作を更新し、未開の地を歩き続けているようで、観客はみんな振り落とされたり、必死でしがみついたりしながらなんとかついていくしかない。
こわいものが好きなら観る以外の選択はない。
記憶の中に意味がわからないテレビでみた映像の記憶はない?
確かに見たはずなのに一度も続報のなかったニュースは?
かつて体験した奇妙な出来事は?