正直なところ何となく予想はついてしまう作品ではありますが、そこにたどり着くまでの脚本も演出も見事でした。
ホラーではあるのですが、アダムマッケイ製作がうなずけるピリリと効いたブラックユーモアが痛快です。
料理映画としても、その料理が暗示するもの一つ一つもユニークかつ痛烈な風刺が効いていて、男に鉄槌をくだす料理と本作でまさか見られるとは思ってなかったシスターフッド的なくだりにもほっこりしました。
最後まで中弛みせず、ちょうど良い面白さ。食の映画に見せかけて、もっと広い射程を持った、生きることについて掘りさげる作品でもありました。
シンプルでありながら味わい深く、こうやって文章を書いていることにも一種の暴力性を孕んでしまうのだと思わされるある種『NOPE』を連想するような作品でもありました。
また、アニャテイラージョイ、レイフファインズも素晴らし過ぎるほど良かったのですが、ニコラスホルトにこういう役をやらせたら逸品だなと改めて思いました。